第三章

 「ただいま!パパ!」

アレンは家の前でミシェルと別れて玄関に転がり込んだ。

「おや、アレン。おかえり早かったね。キャラメルポップコーンは美味しかったかい?」

父親が笑顔で迎えた。

「パパ…」アレンは腰を曲げ下を向き息を切らしている。

「どうしたんだい?何かあったのかい?」

アレンは深呼吸すると顔を上げて口を開いた。

「パパ、僕ギタリストになりたい!」

父親は驚いた表情から、すぐに笑顔になりアレンを抱きしめた。

「おお…アレン!」

傍で聞いていた母親も涙を流して喜んだ。


翌日、親子は楽器屋に行ってアコースティックギターとエレキギターと諸々必需品を買った。

「エレキギターの練習が出来るように離れにスタジオを作ろう♪」父親はノリノリだった。

アレンは嬉しくてアコースティックギターを持ち出して家の裏手の丘にある大木の下でアコースティックギターを練習した。

そこそこ弾けるようになった頃、ギターの弦が1本切れた。

アレンは弦を張り替えた…けどチューニングが上手くいかなかった。

不意に、

「下手くそ!」と、上の方から声が聞こえた。

え?アレンが見上げるより先に少年が木から勢いよく飛び降りてきた。

スタッとカッコよく着地するとアレンの方に向いた。

アレンと同い年くらいで、濃いミルクティーのような髪色で薄い水色の目をしている。

「下手くそって、なんだよ」アレンはムッとして言い返した。

「それ」少年はアレンのアコースティックギターのネックを指を指した。

「弦の巻き方。ちゃんと引っ張りながら巻かないと弦も痛むしチューニングも狂い易くなる」

「え…あ…ありがとう」アレンは素直に礼を言った。

少年は軽くため息をつくと口を開いた。

「その弦、もう使わない方がいい。代わりの弦持っているか?」

アレンは持っていなかった。

週末にパークタウンに行って弦を買いに行く予定だった。

「持ってないんだ…」

アレンは下を向いてボソッと答えた。

「うちに来い」

アレンは半ば強引に腕を引っ張られ少年に連れていかれた。


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