020 ポメラやらかす 後始末
遥希は、”クモさん”から今回の事の顛末を聞いた。
「ポメラさん悪乗りし過ぎ、スイーツ食べ放題は無しですね。そして一か月間ス
イーツ禁止です」
「それは酷いです!」
遥希の無常な決定に、糸でグルグル巻きにされて床に転がされたポメラが抗議し
た。
「マエラさんが自害するまで追い込むのは酷くないんですか?クモさんがいなけれ
ば大変なことになっていたんですよ?」
「それは…申し訳なかったと思っています」
マエラは意気消沈する。
「その後も、マエラさんのことを考えて言葉を選んだり、彼女の心情を慮ったりし
ているように見えませんでしたが?自分の失態をなんとか無かったことにしようと
していましたよね?」
ポメラ、図星を突かれる。
「まだ、自分が何をしたの理解していないみたいですね…」
遥希は、何処が悪かったかを一つ一つ説明して行く。
ポメラは自分のしたことを他人に説明されることで、いかに酷い行いだったかを
本当の意味で理解した。恩人である遥希に言われたのも大きい。
「既に色々と進んでしまっているので、このまま計画通り進めたいと思いますが、
今後は注意して下さい。それに、マエラさんにはスキルを得たことでの成功体験を
してもらいたいですから」
「はい、肝に銘じます」
「だけど、今回の件はポメラさんだけが悪いわけじゃありません。偉そうに説教な
んかしていますが、元を辿れば、このような指示を出した僕に責任があります。で
すから僕も一か月間スイーツ無しにします。そして、全てが終わったらマエラさん
に謝罪をします」
「それは…」
狼獣人の女性が難色を示すが…
「謝罪しなければなりません。これを謝罪できないようでは良識の欠けた最低の人
間になってしまいます」
「はい、その通りです」
狼獣人の女性は遥希の言葉を肯定した。
「これからの働きで反省が見られたら、食べ放題一ヶ月分は考慮します」
「そう言って頂けるのはありがたいですが、食べ放題は辞退します。マエラさんの
命に比べれば、スイーツが食べられないことなど、どうでもいいことですから。む
しろ私の働きを評価して頂けるのなら、マエラさんに食べ放題の権利を与えて下さ
い」
ポメラの雰囲気が先程とは変わった。
「ポメラさん、人は間違いを犯します。それは絶対です。ですが、それから学ぶこ
とが出来るのもまた人です。ポメラさんは自らの快楽のためにあのようなことをす
る人ではありません、少し気分が乗って悪ふざけをしてしまったんですよね。でも
ね、遊びで人が死を決意するまで追い込むのはとても危険な事なんです、あなたに
とっても。ですから、これからは相手の精神状態を慮り、相手の機微を読み取るこ
とを心がけましょう。そうすれば、二度とこのような失敗は起きませんから。あな
たはそれが出来る人です」
ポメラ、涙ぐむ。
「あとクモさんに御礼をしましょう。クモさん、致命的な結果になる前に止めてく
れてありがとうございました」
「クモさんありがとうございました、私が未熟なばかりに取り返しのつかないこと
を引き起こしてしまうところでした。私に出来ることがあれば何でも言って下さ
い」
【クモさん、そんなに感謝されると照れる。クモさん、自分の役目を果たしただ
け、気にしなくて良い】
「そうは言っても、常に気を張っているのも大変ですよね?」
【クモさん、別にそれは負担じゃない。普通の生活をしているのと同じ。報酬にも
満足しているから気にしなくていい】
「わかりました、何か必要な物があれば、何でも言って下さい」
遥希は話が平行線のままになると判断して、打ち切った。
「ポメラさんはクモさんの気遣いを学びましょうね」
「はい。クモさん、学ばせて頂きます」
しかし、狼獣人の女性はチクリと釘をさす
「まあまあ、ポメラさんも反省してくれたし話はここまで。クモさん、これからも
サポートお願いします」
【クモさん、役に立てるの嬉しいから、これからも頑張る】
クモさんいい人過ぎる、クモさんの正体とは一体…
「あの…これ…いつ解いてもらえるんでしょうか…」
「自分で脱出するまでが罰です」
「クモさんの糸を切ることが出来る人なんて聞いた事ないんですけど…」
「力業だけが脱出の方法ではありませんよ」
その後ポメラは、クモさんに誠心誠意謝ることで解放された。
ちなみに、クモさんを物で釣ったら怒られた。
クモさん、清廉潔白。
~~~~~
ちなみにクモさんは、今回自分が撮影したマエラとポメラのやりとりの一部始終
の映像を、遥希だけに見せて削除した。
動画として公開するなんて以ての外だから。
あれは、残しておくべき物ではないのである。
~~~~~
おまけ
遥希が自分も一ヶ月間スイーツ禁止にした際に、狼獣人の女性が動揺した理由。
稀に、仕事の合間に遥希がおやつを食べるときがある。その際、他に人がいなけ
れば、二人だけのスウィートな時間(一方的な思い)を過ごせるから。
===================================================
お読み頂きありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます