第5話 フェリシネス

「アレイ、着いたぞ。ここが我らがグレゴレオ帝国の帝都、グレゴレオだ」


 グレゴレオの城壁が見えてから中に入るまで結構時間がかかったため、いつの間にか寝てしまっていた。寝起きのまだ覚めきっていない目をこすりながら起きてみると、眼の前には本当にすごい景色が広がっていた。


 周りの建物はとても高く、道には沢山の人が居る。いろいろなところからいい匂いがして、本当に活気に満ちていた。


「お前が行く魔法学園は帝都の少し端の方にある。帝都の中心部にある転移魔法陣から魔法学園に行くからな」


 転移魔法! 光属性のほぼ最難関の魔法で、使える人はこの帝国に何人かしかいないような魔法だ! 前に魔法書で読んだことがあったけど、本当にそんな魔法があるなんて信じられなかった。


「転移魔法陣ってどうやってできたんですか? 」

「ああ、それはこの帝都ができるときに、帝国最強の魔術師たちが集まって作ったらしい。何人ものの付与師と光属性使いが何週間もかけて作ったらしいぞ! 」


 本当にすごい。帝都は魔法で満ち溢れていた。よく見ると、帝都の城壁の上には何から結界みたいなものが張り巡らされており、人々がいたるところで魔法を使っていた。


「僕、こんなところに来てよかったのかな・・・・・・」

「お前なら大丈夫だ。ほら、転移魔法陣が見えてきたぞ」


 転移魔方陣は大きな建物の中の地面に作られていた。転移魔法陣の魔力は週に一回、魔法使いが与えているらしい。それも光属性の魔力供給魔法らしく、早く光属性の魔法も使えるようになりたくなった。


 そして、建物の中に入ると関門があり、転移魔法陣に乗る前に鑑定師が僕らのことを調べ上げた。もしかしたら僕の適性が創造魔法だと見抜かれたかもしれないが、何も言われなかったので安堵のため息をつく。


「いいな、転移魔法陣の乗ると一瞬で魔法学園に着く。たぶん、あっちには牧師さんの元同僚の人がいて色々と説明してくれるだろうから頑張れよ。俺もまた本を売りに行くからさ」

「行商人さん、ありがとうございました! 」

「そうか、俺の名前言ってなかったな、ウルクだ。また会おうなアレイ」


 そう、別れを告げると僕は魔法陣に誘導され、その上に足を踏み入れた。周りを光が包みこんで、魔力が体中を巡る不思議な感覚に包まれた。次の瞬間、目を開けるとそこは今までいた場所ではなくなっていた。


 眼の前には大きな門があり、その周りには沢山の護衛のような人がいた。


「着いたのかな? 」

「アレイ様ですね。お待ちしておりました。ローズベルト様から到着次第ご連絡するようにと承っております」

「ローズベルト様? 」

「グレゴレオ帝国第二警備部隊部隊長です」


 もしかして牧師さんの同僚っていう人かな? 何も知らないけれどなるがままにそのまま連れられていった。


 大きなドアを出ると外には広大な敷地が広がっていた。奥の方には校舎と見られる大きくて立派な建物があった。右側にある広場? 庭? 校庭っていうのかな? みたいなところではたくさんの生徒みたいな人が授業を受けていた。村の教会にとは全然規模が違った。


 そして僕は馬車に乗って奥の方の建物に連れられていった。そのままある応接間みたいな場所に案内されると、そこにはかっこいい制服を着た強そうなおじさんがいた。


「こんにちは。アレイ君だね。私はローズベルト・アーノルド。グレゴレオ帝国第二警備部隊部隊長だ。元グレゴレオ帝国第二警備部隊部副隊長といったほうがわかりやすいかな? 」

「元グレゴレオ帝国第二警備部隊部って牧師さんの・・・・・・」

「そうだ。ロイドは私と同期で、部隊長だったんだ。君のことはロイドからよく聞いているよ。よろしく」

「よろしくお願いします! 」

 

 ロイドというのは牧神さんの名前だろう。考えてみれば僕は牧師さんの名前も覚えていなかった。初めてあったときに言ってたような気がするけど・・・・・・


「とりあえず、アレイ、ようこそグレゴレオ帝国魔法学園『フェリシネス』へ」

 

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