第4話 魔法学園へ
帝都の魔法学園。それはこのグレゴレオ帝国の帝都、グレゴレオにある帝国内最高の魔法のための学校だ。
僕は本でしか読んだことないが、数々の英雄やこのグレゴレオ帝国の皇帝を輩出している名門校らしい。そこで出た返事がこうだ。
「は? 」
もう、なんと間抜けな返事だっただろうか。本当にこれしか言えなかったのだ。だって、こんな辺鄙な田舎の村にいる僕が、それも無能の創造魔法使いの僕が帝都に行くなんて天地がひっくり返ってもありえないようなことだったから。
「もう一回言ってもらえますか? 」
「だから、アレイ。帝都の魔法学園に言ってみる気はないかい? 」
なんどもその言葉を反芻する。でも、やっぱり『帝都の魔法学園』と言っている。
「言う相手を間違えてるんじゃないですか? リンならわかるんですけど・・・・・・」
「いや、アレイ。君だよ。君は魔法の才能がある。<特別生活魔法>の適正に関係なく、君は<一般五大元素魔法>のすべての属性の魔法が使える。そんな人間はこの帝国にも少ないんだ」
「はあ、」
「それでアレイ。私はこの村の牧師としてではなく、元グレゴレオ帝国第三警備部隊部隊長として君を魔法学園に推薦したいんだ」
これは驚いた。牧師さんが帝都の警備隊だったとは知っていたが、まさか部隊長何だったとは思いもしなかった。
「本当に・・・・・・こんな僕を推薦してくれんですか? 」
「もちろん。私は君に期待している。引退してから約二〇年間。こんなにも素晴らしい魔法使いは見たことがない。<特別生活魔法>の適正はこの際関係ない。どうだ? 行ってみないか? 魔法学園に」
久々に人の期待というものを見たような気がする。三年間くらい本当に引きこもり状態だった。
「本当に僕でいいんですね」
なんだか涙が出てきそうになった。
「行きます……いや、行かせてください! 魔法学園に! 」
そうして僕は帝国の魔法学園に行くことになった。
◇◆◇
お父さんとお母さんに魔法学園に行くことを伝えると、二人は信じられないという反応をしたが、また、食い持ち付が減るみたいな感じで心のなかで喜んでいるようだった。
リンとロンにも言ったが、二人には無視された。リンもロンもそれぞれの道を歩いているんだ。僕は一人寂しく魔法学園に行くこととなった。
荷物も大してないため、荷造りはすぐ終わった。魔法書と少しの着替えと餞別の少しのお金を持って一人で行商人さんに馬車に乗せてもらい、魔法学園に向けて旅立った。
僕は初めて村の外に出たのでとても興奮していた。見たことのない景色に驚かされながら道中を歩んでいった。
途中、初めて『魔物』と呼ばれる存在に出くわした。僕は特に何もしていないのだが、初めての出来事に興奮が収まりきらなかった。
出てきたのは兎の魔物だ。
この世界には『魔物』と呼ばれる生き物が存在している。『魔物』は普通の動物よりも魔力量が多く、獰猛化した生き物だ。
僕が初めてであった魔物は全然強くないので、行商人が雇っている護衛みたいな人が一瞬で倒していた。
眼の前で攻撃魔法を本当に使っているのを見たのは初めてだった。
「アレイ、村にはないものがたくさんだろう」
行商人は僕がたくさん魔法書を買うので結構仲が良く、僕に良くしてくれる。村にいる人の中で珍しい人だった。
五日間かけてやっと帝都の城壁が見えてきた。
「うわわわわわわ・・・・・・」
見たことにない人の量、見たことのない物の大きさ。
「ここが帝都か・・・・・・」
僕の人生はここから大きく変わった。
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