第7話
飛行船を空地に着陸させると、エリに言われた通りにステルス機能を使用した。これで周囲から飛行船を隠せると聞いた。飛行船から出る。畑があって、側に家が建っていた。この辺りは被害を受けていないのだろうか。代わりに人を見かけない。
俺は飛行船から離れると、後ろを振り返った。エリが3歩後ろをついてきている。
「なんか、使えないのか?」
俺が言うとエリは首を傾げる。
「その、人間を探すレーダーとか」
「私にはそのような機能は備わっておりません。人間よりも、強力なだけです」
「いざというときは助けてくれよ」
俺はそう言って家の側に駆け寄っていった。屋根瓦がある古風な家だった。扉は引き戸でできていて、ガラス張りになっていた。家の中を覗いてみようとすると、怒鳴り声がした。
「よそ者が、出ていけ」
周囲を見渡すが、声の主を見つけることができず、家の中からこちらを覗いていると思った。俺は一歩後ろに下がり、別の家で人を探すことにした。少し歩いたところに、もう一軒家が建っていた。同じように屋根瓦だが、こちらのほうが大きな家だった。敷地の外に番犬注意という注意書きも見かけた。
扉を開けて敷地内に入ると、玄関のインターフォンを押そうとした。エリが声をあげる。
「危険が迫っております。その場から離れてください」
「なんだ?」
俺が言うと、エリは俺の側に立ち、庭の奥から走ってくるシェパード犬を睨みつけていた。俺は慌てて敷地内から抜け出そうとするが、シェパードは黒い体毛を逆立たせ吠えたのだ。唸り声を上げるが、エリに近づくことはなく、四つん這いの姿勢を低くしていただけだった。
エリは犬からそっぽを向いて俺の方に近づいてきた。
「大丈夫か?」
「相手は私の戦力を測り、戦闘を避けました」
「そうか、とにかくありがとう。助かったよ」
俺は家の前から急いで去る。立ち止まり、エリに話しかけた。
「この調子だと、誰も話しをきいてくれないかな」
「可能性は低いと思われます」
「そうだよな」
俺は空地に戻ることにした。飛行船の外装があらわになっていた。ところどころ傷が付いている。
「エリ、これ」
「動作確認をします」
エリは飛行船の中に入り、しばらくして戻ってきた。
「エンジンに故障があり、稼働不可でございます」
俺は仕方なく飛行船をもう一台作るために、コントローラーを出現させた。
驚いたことに、ポイントが10000も溜まっていた。
「エリ、ちょっと」
「井上さんどうかされましたか?」
「ポイントが1万もあるんだけど」
「ドラゴンを倒したことで、ポイントが溜まっております。ダンジョンを生成されてみてはいかがでしょうか」
コントローラーを操作してショップを開くことにした。
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