第3話

 部屋に戻り、外の景色を眺めた。街が丸ごとなくなり、現実を疑う。異常なことが続いたせいか、目の前に浮かんでいる×印に気づくのに時間を要した。

 ベランダから部屋の壁のほうへと体の向きを変えても、その印は蚊のように浮かんでいた。目の錯覚か、もしくは目を傷つけたのだろうか。試しに触れようと手を伸ばすと、ポンと空間に何かが出現した。ゲーム機のコントローラーのようなものが浮かんでいるのだ。

 変なことに慣れてきたせいか、俺はコントローラーをすんなりと両手で握ってみた。右手でボタンを押すと、目の前の空間に文字が浮かんできた。


 ショップ。

 スキル。

 ステータス。

 

 左手で十字キーを操作すると、矢印のマークが文字の横に現れた。下にずらすと、ステータスの隣に矢印が付いたのだ。

 俺は試しにステータスのところでボタンを押した。


 ステータス、という文字が浮かんだが、それ以外には何もない。まだ判断はつかないので、コントローラーで戻るボタンを探し、てきとうにボタンを押し込む。さきほどの画面に戻ると、今度はスキルを選択した。


 スキルと大きく表示されただけで何もないのだ。今度はショップに選択肢を合わせると、ずらりと文字が並んでいた。


『モンスター 10mp』

『モンスターの卵 5mp』

『ダンジョン 10000mp』

『飛行船 100mp』


 所持マスターポイント 100mp


 モンスター。モンスターの卵。ダンジョン。飛行船と視線を落としていく。飛行船のところで決定ボタンを押すと、概要の文章が現れた。


 大きさ、形状、重さ、と書かれていた。中型の飛行機と同様のレベルで、ステルス機能を搭載しているらしい。レーダーに探知されないということだろうか。

 俺は戻るボタンを押し、ダンジョンに合わせてみた。


『ダンジョン』


 レベルが上がるごとに高さと広さがあがっていく。面積に応じて、入れられるモンスターの数が多くなる。


『モンスター』


 ダンジョン内で活動する生物。様々な役割があり、ダンジョンを解放するまでは使用ができない。


『モンスターの卵』


 孵化すると、ランダムでモンスターが現れる。


 

 とりあえず、現状は飛行船しか買えないわけか。コントローラーで戻るを連打すると、画面は消えていった。ゲーム機のコントローラーは消えていき、×印だけが残ったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る