第20話

「バカか。そう簡単に禁煙できたら世話ねぇよ」



馬鹿にしたようにそう言ってくるけれど、だったら禁煙なんてしなくてもいいのになと思ってしまう



たしかにタバコの煙は嫌いだし、臭くて咳き込む時もあるけれどそんなものはサクヤさんで慣れてるから今更だ



それに、そもそもこいつらがタバコを吸っているのをあまり見たことがないからぶっちゃけ辞めようが辞めまいが変わらない気がする




「じゃあ別に辞めなくても、私はそこまで気にしないけど」



冷蔵庫から紙パックのりんごジュースを取り出してきて、ちゅーちゅーと飲みながらリビングへと戻ってくる




「俺思ったんだけど、口が寂しいって理由でミオンにキスできるからタバコ辞めたほうがメリットあるなって」



そんな私の隣に腰掛けたカナタは私が飲んでいた紙パックを取り上げて、そのまま流れるようにちゅっと軽く私の唇にキスをした



「俺って結構ヘビースモーカーなんだよね。もう寂しくなっちゃった」



自分の唇をぺろりと舐めて可愛らしく言ったカナタにため息をこぼす

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る