第12話

「えーでも決めないといけないもんなあ。なんか、今年から代表の制度変わるらしいんだけどそれでもやりたい人いない?」



「俺パス」



「私もー」



1人を筆頭に、「俺も」「うちも」「私も」と全員が全員やりたくないコール


チラリと教室の前側をみると、赤組でも同じ現象が起こっている



もちろん私もやりたくない



それに困った佐々木さんは、「じゃあわかった。もう恨みっこ無しだからね。クジにするから!」とどこから持ってきたのか、はたまた最初からこうなることを見越して準備していたのか…



多分後者だろうな。


クジが入った箱を私たちの前へと差し出した



「ここに一票だけ丸が書いてある紙があるから、それを引いた人が代表ね。何回も言うけど恨みっこ無しだから!!」



そんな佐々木さんの言い分に「えー」というブーイングがおきながらも「さっさと引いて!HR終わっちゃうじゃん」と私たちを急かすようにクジを強引に引かせられた。



私が引いたのは最後から3番目で、後ろの2人は「残り物には福がある…!」と始終祈っていた。



クラスの半分のうち1人にしか当たらないんだから、そんなに確率は高くないでしょ



と鷹を括ってクジをひらくと



「……え、」



私の手元にはデカデカと◯の記号が記されていた。



「あっ!渡辺さんだ!決まりだね〜渡辺さんよろしく!」



硬直している私のクジを後ろから覗き込んで、みんなに聞こえる声でそう言った佐々木さん



その声にまわりは明らかにホッとした雰囲気を醸し出していて、最後にクジを引いた子にいたっては


「福がぁぁぁぁぁ…!!!神様あああ!!」



と神に感謝の祈りを捧げていた。

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