第2話

こんな日常に慣れつつある自分にはぁっとため息が出る。



「…和食かよ」



ため息をついていると突然現れた気配にビクッと肩を揺らす。



耳にかかった吐息が私達の距離の近さを物語っていて少し身構える。



ランが朝にキッチンに入ってくるなんて珍しすぎて予想すらしていなかった。



「今日は食べて行くの?」



ランは基本的に朝ごはんは食べない日が多い。

けれどたまに気分なのかなんなのか、食べると言う日があるから困ってしまうんだ。



「ん、」



返事なのかなんなのかよくわからない一文字を発した後に私の肩に顎をちょこんっと置く。



「ちょっと、邪魔」



ぐわんぐわんっと肩を動かして退かそうとするけれどピクリともしない頑固な男



「んー……ヤりてぇ」



顎を置くのをやめたかと思いきや額を置いてぐりぐりとし始める。


朝のキッチンには不適切な言葉が聞こえてきたけれど、因みにこれも日常茶飯事である。



最近ランはなにかとヤりたいヤりたいと私に言ってくる。



その都度私は「どっかでヤってこれば?」と言っているけれど、その度にチッと舌打ちをしてどこかへ消えて行くかブスッと不貞腐れるかのどちらかだ。




「だから、ランならその辺の可愛い子引っかけれるでしょ。発散してきたら?」





私に言われても困るってんだ

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