〈敗者の“カツ”オ〉

スマホのアラームが部屋に鳴り響く。

時刻を見ると18:30。

僕らがホテルに着いたのが14:00頃で、確か眠ったのは15:00頃だった。故に、たった3時間程度の仮眠で夜行の疲れを癒すことなどできるはずもなかった。結局、僕らは二度寝して19:00頃に部屋を出た。

眠い目を擦りながらも、なんとか起きたのにはもちろん理由があった。眠る前に今日の晩ご飯について約束していたのだ。高知で有名な「ひろめ市場」にて、この疲労感と喉の渇きにビールを流し込みながらカツオを頂こう、と。

それを楽しみに、僕らは体に鞭打って同市場まで向かった。


実際、この行動は当たりだったと言えよう。

僕らは初めにビールとカツオを頼み、勢い良く頂いた。正直、僕らの地元の福井も海産物系には恵まれているため、そこまで違わないだろうと高を括っていたが、想像を軽く超えてきた。歯応えはしっかりとあるにも関わらず、とろけるのである。あまりの美味しさにもう一度注文しようとしたが、「今一気に満足するまで食べるのではなく、旅行中毎晩食べよう」というKの提案に2人揃って「「最高!」」と返し、その日は別のものを食べることにした。

僕らは市場を回り、ウツボの唐揚げ、クジラカツ、カツオの酒盗、高知餃子をつまみに、ぬるくなったビールとゆず酒を流し込んだ。どうやら高知県は柚子の生産量が日本1らしい。爽やかな甘さが口に広がった。


その後僕らは、〆のラーメンを食べて帰った。この時Rは塩ラーメンを、Kはつけ麺を、僕は魚介豚骨ラーメンを頼んだ。最適解はRの塩ラーメンだった。少し重たくなった胃がさっぱりした塩味を求めていることに、僕の脳は気づけなかった。

宿に向かう途中のコンビニでアイスクリンという高知県特有のデザートを買ったが、普段食べているアイスよりもさっぱりとした味で、飲んだ後にちょうど良かった。

満福感に癒されながら僕らは眠りについた。


〜続〜

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