〈旅立ち〉
ゴオォォォー!
9月2日13時。
飛行機のジェット音が鳴り響き、空へ飛び立つ。高度とともに高揚感が増してくる。ただこの後の予定を鑑みると、少しでも休んでおいた方がいいことは頭では理解していた。
心の中で、とりあえず無事に旅行を始められたことに感謝し、両手の代わりに瞼を合わせて無理やり休息を取る。
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8月8日。友人にプレゼンをした1週間後、宮崎県で大規模な地震が起こった。それは南海トラフ地震を頭にチラつかせるには十分な規模だった。
その3日後、旅程についての会議があり、真っ先にこのことが議題に上がった。僕らが行こうとしている高知は、もし当該地震が発生すれば津波に巻き込まれる可能性が非常に高いためである。そして結論としては、予約のキャンセルができるギリギリまで様子見ということになった。
その後は何事もなく旅行に行ける見通しが高まってきた矢先、台風10号が日本列島に居座ったのである。そしてまた、天に運を委ねることとなった。
結果としては、運に恵まれ、僕らの旅行日は全て快晴となった。
そして9月2日当日。空港まで向かう途中のバスで、旅程の詳細を詰めた。今までの話し合いで、行きたい場所ややりたいことはピックアップして優先順位をつけていたため、それほど考えることはなかった。
2日:
15時に宿イン
18時までに食事と風呂→仮眠
22時にチャリ出発
3日:
8時頃に四国カルスト着予定
13時頃にホテル着予定
仮眠して居酒屋
4日:
13時から仁淀川でSUP
その後、にこ淵でマイナスイオン
居酒屋
5日:
9時から柏島に出発
13時にシュノーケリング
終わったら沈下橋
帰ったら居酒屋
6日:
宿チェックアウト後、桂浜
解散
という、行きたいところ詰め込みな4泊5日の旅程をLINEグルに送り、友人からは賛同を示すスタンプが返ってきた。
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そして今現在、東京の上空を飛ぶ飛行機からは、次第に小さくなっていく街並みが見える。
今回の旅はどれぐらいイレギュラーを体験できるだろうかと、仄かな不安を偉大なる挑戦心で中和し、一気に飲み干す。爽やかな期待感が心に澄み渡った。そのまま僕は眠りについた。
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ゴオォォォー!
着陸の衝撃で目を覚ます。
沖縄の時の様な感覚がないことに安堵を覚える。もうあんなのは懲り懲りだ。
そして空港を出た僕は、バスに乗って宿へと向かう。車窓から見える景色は、どこか僕の故郷、福井の町並みを彷彿とさせる一方で、坂本龍馬の時代を連想させるかの様な瓦造りの家も所々に目立っていた。
〜続く〜
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