第2話 本物の戦場

エドワード・ハンスは入隊許可証も身体検査も全て潜り抜けて正式に入隊が決まった。アングリ・コルシワー、カルロス・ハイリ、ハインツ・マンダリも入隊が許可され、明日が出発のため、一緒に荷物の準備をしていた。最初は訓練があるかと思ったが口頭で歩兵銃の扱い方と基本の動き方を言われただけだった。そして全員に740mmのGew98と兵士の基本装備が配られた。カルロス・ハイリはメガネをかけていたため、戦闘中も外れにくいスポーツメガネを町で買っていた。エドワード・ハンスは出発前の最後に家族への手紙を書いて住所を記入し、それをポストに入れて出発のトラックに乗った。トラックにはエドワード・ハンス、アングリ・コルシワー、カルロス・ハイリ、ハインツ・マンダリ、同じ兵士のアイオワ・ハターン、隊長のネイビス・ゴーンが搭乗していた。

ネイビス・ゴーン(第209歩兵小隊隊長)「良いかお前ら!その銃はお前の愛人だと思え!そしたらそれを離さないよう必死になれるぞ、そして敵に殺される時も愛人に殺されると思えば怖くない。だが簡単に殺されんなよ。本営からは数週間後か1ヶ月後くらいにはパリに進軍していると予想しているときた。その時、生きていたら帰って英雄になれるぞ」

その言葉を聞いたエドワード・ハンス達は雄叫びを上げて喜んでいた。そしてトラックが出発して2時間くらい経つと辺りが焼け野原の殺風景が広がってきた。もう少し奥ではボロボロの隊服に大小の怪我をしたドイツ軍兵士が何人もいた。中には腕を失って寝たきりになっているドイツ軍兵士も。エドワード・ハンスは眺めるだけながらも少し戦場に抱いてた憧れが崩れ、不信と不安が広がった。遂に目的地付近に来たところで軍医に道案内されてトラックを降りるよう言われた。

ドイツ軍軍医1「怪我人を国内まで運びたい。此処では対処できない怪我人が多すぎる。運転手以外は全員降りて戦地に歩いていって欲しい」

ネイビス・ゴーンは不満そうな顔をしながらも全員に降りるよう命令し、戦地まで歩くことにした。歩いている途中でイギリス軍が放った砲弾が近くで炸裂し、着弾地では大きなくぼみができていた。ドイツ軍兵士達が焦ってその場にうつむくように倒れた。そして隊長達がガスマスクを装着するよう命令し、全員が急いでガスマスクを装着し始めた。エドワード・ハンスは他の兵士の手伝いをして遅くなっていたところをネイビス・ゴーンに見つかり、急いで装着をしたがネイビス・ゴーンはエドワード・ハンスの前に立っていた。

ネイビス・ゴーン「お前は死にたいのか?死にたくないなら全部の行動を必死こいて早く終わらせろ。じゃなきゃ最初の撃ち合いで殺されるぞ?」

そう言いながらもガスマスクを装着しながら少し手前にあったドイツ軍塹壕に到着した。塹壕に入ると目の前で先に到着したドイツ軍と守っていたイギリス軍、フランス軍が撃ち合いをしていた。どちらも犠牲を出しながらも撃ち合いを続けていたが雨が少しずつ強くなってきたため、一時だけ撃ち合いをやめて塹壕に溜まってくるであろう雨水をヘルメットを使い、外へ出した。

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