恐ろしさを知る
@jgbjgbj
第1話 憧れ
1914年 ドイツ帝国 ハンブルク
ハンブルクに住むエドワード家は裕福とは言えないが平凡ながらも幸せな家庭であった。そしてエドワード家には今年で20歳となるエドワード・ハンスがいた。エドワード・ハンスは友達から友達の父親の戦場の話を学校で聞かされたこともあり、年齢を重ねるごとに戦場への憧れが日々膨らんでいった。だがエドワード・ハンスの両親はそれを頑なに拒否していた。父親は元軍人で右目を失ったが町工場で働き、それなりの地位を得ていた。母親も国のためにと裁縫工場などで兵士の隊服を縫ったり、夜遅くに帰ってきては家事をこなしていた。どちらも大変であると感じながらもエドワード・ハンスと弟、妹を支えられていることに幸せを感じていた。そして父親は元軍人であることを悪いように思っており、エドワード・ハンスにもそうなって欲しくないし、死んでしまう可能性もあることから頑なに親からの軍への入隊許可証にサインしなかった。だが時は過ぎていき、第一次世界大戦が始まってしまった。戦地では塹壕が至るところに作られ、各国の騎兵も平野での戦いでしか使い物にならなかった。時代は人と銃器で戦争をするよう進化していった。既にドイツ帝国軍はベルギーへ侵攻しており、ベルギーを占領する勢いだった。勿論、このことはドイツ国民の士気を高めるために新聞社が大々的に報道した。エドワード・ハンスも落ちている新聞を何枚も探してそれを見て更に戦地への憧れが強まった。そして遂にエドワード・ハンスが通う大学院にも徴兵の誘いが来た。学長は強制はせず、入隊許可証を持ってきた者だけに戦地へ行かせると言っており、エドワード・ハンスは戦地へ行ける絶好のチャンスとして両親に話したが何度言っても断られてしまった。エドワード・ハンスがこれまでにも戦地への憧れを捨てきれないのは戦地で活躍して国から沢山の勲章と報酬を貰って家族を養い、地域に英雄として称えられたいという一心からきていたのだ。
エドワード・ハンス(主人公)「あぁ、駄目だった。俺は戦場に行けそうにない…今やドイツ軍はフランスに差し掛かってるって言うのに、俺もパリを進軍して地域の英雄になってみたかったのに…」
アングリ・コルシワー(エドワード・ハンスの同級生)「そうだな…じゃあ俺が代わりに入隊許可証にサインしてやるよ。何か言われたら親戚のおじさんに書いてもらったってことにしてよ」
その言葉にカルロス・ハイリが待ったをかけ、エドワード・ハンスの入隊許可証を奪った。
エドワード・ハンス「何すんだ!俺の大事な入隊許可証だぞ?」
カルロス・ハイリ(エドワード・ハンスの同級生)「入隊許可証の偽造は軍律違反だ。俺達はまだ自分達で持ち家や財を持てていない。その間は親のサインが必要だ。バレたら入隊拒否にされるぞ?一生な」
ハインツ・マンダリ(エドワード・ハンスの同級生)「そう心配すんなってハイリ。わざわざ大学まで徴兵させるんだから意外と戦地の歩兵が足りてないんだろ?じゃあ偽造されてるって分かってても健全者なら入隊させたいわけだよ。分かるか?」
そう言ってカルロス・ハイリの持っているエドワード・ハンスの入隊許可証にサインをしてエドワード・ハンスに渡した。そして皆で大学院へと入っていった。
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