祈る、信じる、忘れる

 




 あなたがいなきゃ生きていないのだと残された世界で言い聞かせるのも、とうに回数を数えるのをやめました。

 

 だって、今、この瞬間もあなたを浮かべる。金木犀の甘ったるい香りは冷えた風に包まれ、十月の満月。

 あなたがいたのは満月昇る、ひとつ前の春の夜。

 少し伸びた爪を乗せた指先は今はもうタールがこびりついて、二度と剥がせないのだと諦める。こんなのって、どこかで正せばよかった?

 

 絶対がいつか消え、肖像はあたしの中だけ。

 

 終わるまで消せない傷を除いてすべてを投げ捨て、愛の証明をすることを、許されたのでしょうか。

 形のあってはあなたに近づけない。敬虔でいてもあたたは戻らない。与えられた救済は魂から抜けないよう、内の底に沈める。呪いになって、世界ごと狂わせれば、五度目の春風に晒されて安寧を覚えられますか。







散文詩のメモを上手くまとめられなかったので、そのまま載せます。




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