第2話 男の子の話(前半)

昔、小さな男の子がいました。

 男の子は人間関係に興味がなかったため、幼なじみ2人だけが男の子の友達でした。

男の子は本が好きで、よく図書室に入り浸り、本を読んでいました。

ある時から、男の子に女の子が寄ってくるようになりました。バレンタインにチョコレートをくれて、手紙も何度か机の中に入れていました。手紙では、女の子は男の子のことが好きだということです。

男の子は困りました。その男の子にとって、女の子は興味がなく、しかし彼女の思いを無下にはしたくない。そして、付き合ったり振ったりした、と噂になってクラスの中で話題になることがとにかく嫌でした。

そしていつも「ああ、うん、そうだね」と、適当で曖昧な返事をしていました。

そんな時、とある恋愛ドラマがクラスで話題になりました。思春期の未熟な男女にとって少し大人なそのドラマは魅力的に映り、いつしか付き合っている、付き合っていないと言う声が学校中で上がりました。

ある日の休み時間、クラスのリーダー格の少年が、男の子に小声で尋ねてきました。

「お前、𓏸𓏸(女の子)のこと、好きなの?」

その時、偶然女の子は教室に居ないことを確認し、さらに小さい声で

「うん、でも内緒にしてよ?」

と答えた。

しかし、本当は好きどころかむしろ迷惑している、とさえ思っていました。

チクリと、ダメだ、と何かが言っているようなきがしました。

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