過去と後悔
【レイユン】
第1話 女の子の話
昔、小さな男の子と女の子がいました。
女の子は男の子のことが気になっていました。手紙で好意を伝え、バレンタインには毎年チョコを送り、日々恋人をめざして頑張っていました。
けれども、男の子からは曖昧な「うん、まぁ、そうだね」としか返ってきません。
時には友人から、「誰が好きなの?」と聞かれ、男の子の名前を出すと、「××(クラスの代表格)によると、男の子も〜ちゃんのことが好きらしいよ」
その時は嬉しくて、一日中男の子に付きまといました。
そうしているうちに時は流れ、ついに卒業式前日になってしまいました。
女の子は焦っていました。男の子からはいい返事を貰えず、このまま卒業しては、二度と話すことがなくなってしまうかもしれないからです。
そんなことを考えているうちに、卒業式前日のリハーサルとなっていました。
なにか出来ないか。そう考えているうちに、歌の練習になりました。
とつぜん、めのまえの世界が、まるで明かりがきえたように暗くなりました。
ふと目が覚めると、そこは保健室のベッドの上で、女の子は横になっていました。
先生によると女の子は歌の練習中に倒れ、運ばれてきたとの事です。
保健の先生から色々と聞き、「ありがとうございます」と返した後、女の子はふと気がつきました。
並んだ時に、後ろにはあの男の子がいたはずだ、と。
何かを期待し、周りを見渡すも先生以外の姿はない。先生によれば、保健委員の女子が運んできてくれたとのことです。
女の子は頭を打ち、なるべく早めに精密検査を受けるように、と言われました。
そこで、何かが崩れたような感覚に陥りました。けれど、いつからか分かっていたような、そんな気持ちでした。女の子は、何かを決めて頭と共に痛む何かを隠すかのように、再び布団に潜りました。
翌日、卒業式は無事に終わり皆卒業していきました。女の子は卒業式に出ることなく、卒業しました。
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