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「ねぇ、ひぃ君……」


また懐かしい夢をみた。


「お兄ちゃんと喧嘩したの?」

「ルリちゃん」


彼女は眉を潜めて浮かない顔をしていた。


「お兄ちゃんもね、悪気があったわけじゃないと思うよ?」

「でもさぁ……」


あの時、オレはなんで柘榴と喧嘩したんだっけ。


「お兄ちゃん、ひぃ君のこと大好きなんだ。だからあの子達に突っかかっちゃったんだと思う」


あぁ、そうだ。


あの時、公園に遊びに来た奴等がオレ達が先に遊んでいたブランコを乗っ取って……。


それで柘榴が怒って喧嘩になりそうだったのをオレが止めたんだっけ。


『ザクロ、もういいって』


『良くないよ!!せっかくヒスイが先に来て取っててくれたのに……』


『お兄ちゃん』


突っ走ると後先考えない奴だからなぁ……昔から。


「だからね、お兄ちゃんのこと許してあげて?」


琉璃ちゃんに言われて、オレは仕方なく柘榴と仲直りをした。


ふと、目が覚めると当たりは暗くなっていた。


柘榴が帰った時はまだ明るかったのに。


車椅子に乗移り、居間に行くと父と母、二人が話をしていた。


「あの子が家を出て暮らしたいと思ってたなんてねぇ」

「アイツなりに考えての事なんだろ。いずれは、私達の手を借りずに一人で生きて行かなくてはいけないんだ」

「それはそうだけど……」

「まぁ、良い経験になるんじゃないか?もしキツい様ならまた此処に戻って来ればいいんだし」


二人の会話に目蓋を閉じ、オレは決心した。

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