☆ ダーリンは魔法使い ☆。

第2話：フルネームはラブラド光兎（ライト）・レープレ。

「今、魔法使いって言いました？」

「そうですよ・・・柑菜さん・・・何か？」

「柑菜さんって？・・・」

「え？、なんで私の名前、知ってるんですか？」

「コレワイ カンナさん・・・ですよね」

「うそ・・・なんで？」

「だから、魔法使いだって言ったでしょ」

「実は私、こちらの世界に来たばかりで右も左も分からず、どうしたものかと

思案に暮れていたところ運良く、この店に入るあなたを見かけたんです・・・」

「あなたを一目見て私が求めてる人だって直感したんです・・・」

「あなたは私のために存在する人だって・・・」

「あなたは、なんと言っても可愛いし見るからに優しさが体から滲みあふれて

いる・・・」

「これから一緒にお付き合いするわけですから不細工な方より可愛い方のほう

がいいに決まってるでしょ？」

「ゆくゆくは、もしかしたら柑菜さんは私の将来のハニーになるかもしれませんし」

「ハニーって・・・なに、言ってるんですか、あなた・・・」

「光兎（ ライト）です・・・柑菜さん」

「親しみを込めてダーリン・・・っと呼んでくださってもけっこう」

「ダーリンですって？、なに言ってるの」

「はっきり言って迷惑なんですけど・・・光兎（ ライト）さん」

「それに、もうすぐ友達も来ますし・・・だから、どこかへ行っていただけ

ません？」

「それは、私としては不本意な選択だと言わざるを得ません」

「あの・・・あなた・・・光兎（ ライト）さん苗字はないんですか？」

「苗字はレープレ・・・フルネームはラブラド光兎（ ライト）・レープレ」

「でもフルネームは面倒くさいでしょ」

「だから光兎（ ライト）・・・もしくはダーリン、って呼んでくだされば・・・」

「そんなことより話の続きですけど・・・」

「柑菜さんとのこの素晴らしい奇跡的出会いを放棄するなんてことは愚の骨頂

でしょ」

「僕は運命の人を見つけたんですよ、柑菜さん」

「いきなり彼氏がイヤって言うなら彼からでもいいですから・・・」

「氏があるかないかだけで彼氏も彼も意味は同じです、なに言ってるんですか」

「ほんとに変な人、さっきも言いいましたけど迷惑です・・・」

「だいたい魔法使いなんて、この世にいるわけないでしょ」

「じゃ〜私が魔法使いだって証拠、お見せしましょうか？」

そう言うと私は彼に、いきなり手を掴まれてカフェの外に引っ張り出された。

「ちょ・・・ちょっと〜・・・離してください」

「よろしいですか？」

「なにがいいんですか？」

「私を外に引っ張り出して何するつもりですか？」

「あの、もうすぐ伊奈ちゃんが来るんですけど・・・」

「待たせておけばいいんです、お友達は溶けてなくなったりしませんから・・・」

「では、柑菜さん、ご自分の家の場所を頭に思い浮かべてください」

「え？・・・なんでですか？」

「いいから、言うとおりにしてください・・・」

「どうです？・・・思い浮かべました？」

「う、うん・・・あ、はい」

「では、飛びますよ」

「え？飛ぶ？・・・飛ぶって？」

そう言うと彼は右腕を前に出して、手の平と指を上に向かって立てると左腕を

私の腕にからめたかと思ったら・・・何か言った。

「トブーヨアルルドバッショーニ・・・」

その言葉が終わらないうちに気がついたら私は彼と一緒に私の家の前に立っていた。

つづく。