第10話
『えっ!あっ』
しまった!あまりに驚きすぎて、膝に置いておいたスマホが床に落ちてしまった…。
「あっすみません!大丈夫ですか?」
そう言ってすぐに落ちたスマホを拾い上げ、私のすぐ横で跪いて、差し出す彼は、まるで絵本の中から出てきた王子様のようでした…。
時間がスローというか一瞬止まった。これってよくドラマである、恋に落ちる瞬間シーンみたい…。
肌が透き通るように美しく、ツルツルと滑かな肌。それはまるで陶器のよう…。女性も憧れるそんな艶々な肌にシミなんて一つも見つからない…。
この人が美しいのは肌だけじゃない。鼻が物凄く高いのに悪目立ちしていなくて、すーっと伸びている。唇はそんなに厚くなく、でもプルンとしてる!艶々してるが正解かな!?
まつ毛なんてなんでこんなに長いの!?爪楊枝3本くらい乗りそう…。くっきりした二重も人工的じゃない自然な二重で、目以外のパーツはしゅっとしててバランスが完璧すぎる…。人類なの!?この人美しすぎる…。尊すぎる…。
「あんまりじっと見られるとさすがに恥ずかしいんですけど…」
『あ!すみません!!あまりにもイ…良いまつ毛をしていたので…』
そう言うとその男性は、クスっと笑いながら私の椅子に肘をつき、私をしたから眺めて言った。
「良いまつ毛って生まれて初めてです。言われたの」
うわ…ダメだ。見つめられると恥ずかしいのはこっちなんですけど…。しかも私の膝とあなたの腕がすでに触れあっちゃってますけどー!イケメン過ぎるでしょ。こんな人隣に歩いてたら私明らかにお金貢いでデートしてもらってる感丸出しじゃないかぁぁぁぁ。
「ちょっとゆっくりお茶します?それとも、このまま部屋行ってもいいですけど…」
あ、そうだ。違う違う!この人はもう、営業スタートしてるんだ!私はただのお客さんで、私はこの人にお金を払ってるんだ…。
「すみません!別にすぐに終わりたいとかじゃないですから。むしろゆっくりしましょう。今日俺直帰なんで別に時間制限関係ないし」
『そうなんですか!?』
「まぁ…たまたま?今日はですよ。終わりましたって連絡すればいいだけなんで。栞さん可愛いから。」
えっ…。彼の口から奏でられるその甘い詩に私の心はどんどん踊らされていく。
「でも、内緒ですよ。後で他の人にバレると怒られるんで。俺と栞さんだけの秘密にしてください。」
『はっはい!』
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