第11話
え…。可愛いって言われたのどれだけぶりだろ…。もう今日は素直に喜んでいいのかな…。いやいや!これも営業トークだから騙されちゃだめ!騙されるというか鵜呑みにしちゃだめ!好きになったらダメなタイプだこの人!可愛って言葉になんの責任も感じていないようにコーヒーを優雅に注文してる。何なんだこの余裕は…。
この人、AOIさんは顔が美しすぎるのに足も長くて、背も高い。さっきまで跪いてて気づかなかったけど向かい合ってこうして座っていると姿勢も良いし、組む足が長いことにも気づいた。モデルみたい…。
しかも服装もお洒落…。前もってどんな服装で来て欲しいか聞かれてて、カジュアルでって伝えてあった。だから合わせてくれたのか、タイトめな黒に近い暗めのジーンズにグレーのスニーカー。質の良さそうな生地の明るめのネイビーのダウンジャケット。中には暗めのグレーのニットに薄めの色のチェック柄のマフラーをしている。
メンズ雑誌から飛び出してきたかのようなそのイケメンとお茶を飲んでいるだけで満たされている…。
「ねぇ。栞さんの心読んでみていい?」
AOIさんは上着やマフラーを外しながら私を見ながら突然話し始めた。ダウンを脱いでニットになった瞬間、きっとこの人鍛えてるんだろうなって服の上からでも体格の良さが分かった。ゴリゴリのマッチョではなけど、脱いだら筋肉とかすごそう…。お腹とかシックスパックかな…。って見惚れてる場合じゃない!
『え!?急に?何で!?』
「いや、なんとなく。お茶飲んでお喋りしたらこのまま帰ろうかなって思ってるでしょ。」
嘘。ちょっとだけそう思ってた。このまま目の前にいる王子様のような美男子と超えてはいけない一線を越えたら戻って来れなくなるような気がして、ここで引き返した方がいいんじゃないかって思い始めた…。
『そんなことは…』
「なら良いけど…。せっかくお金出してこうやって来たんだし、日頃のストレス晴らそうよ。別に栞さんがどうてしもっていうなら別にデートだけでも全然いいけど。知りたくない?これから過ごす至福の時間。」
いや、確かに…。そう言われると気になっちゃう…。こんなキラキラした目に言われたら、うんとしか言えない…。確かに安い買い物ではないし、このまま帰っても結局何も変わらない気がする…。
『あの…私、実は初めてで…』
「そうだと思った(笑)だって明らかに緊張してるもんね」
『だけど、変わりたくて…。私上手じゃないし、魅力もないし、全然ダメ人間だから。変わりたいんです…』
はっ!私初対面の人に何言ってるんだろーーーーー。相手ちょっと無の表情で凍り付いていない!?それともそんなこと知ってるわバーカとか思われてるのかな!?
「そっか…。えーっと。じゃぁ。まず変えてみる?今以上に可愛くなったらきっとそんな考え、180度変わるよ!」
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