第3話
『あらあら。出社そうそう何書いてるのかと思えば招待状?(笑)ご苦労様~』
そう言って私の後ろを通り過ぎたのは部長の野々山美鈴さん。美鈴さんっていつ見ても綺麗なんだよな。今年40歳らしいんだけど、お肌も艶々だし服装もボディーラインが少し見えるワンピース着てるのに無駄なぜい肉が一切見えないし…。センター分けのボブヘアがまた似合う!バリキャリな美鈴さんに私は憧れている。美鈴さんに憧れているのはそれだけではない…。
『美鈴さん今日は送りよかったんですか?』
『あぁ。旦那が行ってくれてるからさ。今日どうしても本部長と打ち合わせがあってさー。その資料まとめ切れてなかったのよね』
美鈴さんはバリキャリにして家庭をもっている。息子さんはまだ幼稚園年中で、旦那さんは一部上場企業の本部長。美貌と地位とすべて兼ね備えている美鈴さんみたいになりたいとずっと思っていた。けど…
『栞ちゃんさ、最近メイク適当じゃない?』
最近美鈴さんに言われた一言…。私は最近メイクを怠っている。挙句の果てに少し太った気さえする。最近女子力が低下しているのが誰から見ても明らかなのだ。章吾と付き合いたての頃は、マツエクだって、ネイルサロンだってこまめに通ってた。服装にもこだわって章吾が好きそうな服を選んでは着ていた。
なのに最近マツエクは終了。ネイルに関しては自分で塗って適当にごまかし、ファッションは動きやすいウエストがゴムになっているパンツが当たり前になってきた。章吾は優しいからどんな服装でも「似合うね」とか「それいいね」としか言わないから私もあまりこだわらなくなっていた。
同棲3年の私がそれなのに…。美鈴さんは結婚して12年経っているのにあの美しさ。本当に尊敬しかない。どうして美鈴さんはあんなに美貌をキープできるんだろ?不思議で
しょうがない…。
『今日のランチどこにするー?』
美鈴さんがデスクでPCをチラっと見ながら私たちの方を見て声をかけてくれた。美鈴さんとランチ!光栄すぎる!!
『あ!わたしパスです!営業部の人と今度の打ち合わせも兼ねて食事なんで。森下さんも同席です』
奈々が顔の前で手を合わせてすいませんと言いながら断っていた。天下の美鈴様のランチのお誘いを断るとか!仕事だからしょうがないけど奈々正気か。
『そっかー残念!栞ちゃんは?』
『もちろん行きます!お店探します。苦手な食べ物はありますでしょうか』
『あぁ!ないよ!ありがとう栞ちゃんさすがだね』
あぁ。美鈴さんとランチとかさっきの招待状でちょっとローテンションだった私のメンタルが一気にハイになっていく…。私はPCを起動させながら片手にスマホで検索をすぐにかけ始めた。
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