隔つ壁はなくなった

 時は少しさかのぼり、協会本部。


 が雲間に隠れ、ぽつりぽつりと雨が降り始めたころ。ずぶれのヘデが協会の扉を勢いよく開けて駆け込んできた。


「あ~もう、ずぶれ! オリス! 私にも手拭ちょうだい!!」


「俺は雑用じゃない! 勝手にれていろ!」


 不機嫌そうに答えるオリスではあるが、それでも手拭をヘデに投げつけた。


「ありがと~!」


 ヘデは豪速球で投げつけられた手拭をなんなく受け取り、赤毛に乗せたままミネテの方に目を向けた。協会長は窓の外の空をじっと見つめ、眉間みけんしわを寄せている。雨の音を聞きながら、彼女は何かを考え込んでいるようだった。


「ミ~ネテさん! 空ばっかり見て何かあるの?」


 一瞬だけヘデに目をやった、すぐにまた空に視線を戻し、低い声で答えた。


「こういう嫌な天気の時は、何かしら起こるんだよ。勘だがね」


「そっか~」


 ヘデが軽い調子でうなずき、同じように空を見上げた。ぽつぽつと降り続く雨が、地面をらし、人々を家へと追い立てる。


 ヘデがぽんぽんとたたきながら手拭で服の水気を取っている間、協会内は緊張感が漂い始めていた。ミネテと、ヘデら上級狩人かりうどたちが並んで警戒している様子に、他の人員も自然と身構えていく。誰もが口を閉じ、嵐の前の静かで不穏な空気が広がっていく。


「……来た」


 ヘデがぽつりとつぶやいた瞬間、空気が変わった。




 結界が解けていく。


 王都を守っていた透明な膜が、まるで硝子がらすが割れるように、一点から消え始めた。きらめく結界の欠片かけらが、雨粒とともに空中に舞い、次第にその姿を失っていく。



「勘、当たっちゃったね」


「ほんと、厄介なことだよ」


 ミネテが一ついきをつき、次の瞬間、彼女は鋭く声を上げた。


「結界が破れた! 原因は不明!!

 魔物が襲ってくる! 対処しな!!」


 ミネテの発破に応えるように、狩人かりうどたちの声が、おう! と力強く響いた。


 狩人かりうどたちは次々と外へ飛び出していく。彼らの後を追うように、ヘデも外へと向かった。乾かしたばかりの服は、再び雨にれ始めるが、そんなことを気にしていられる余裕はない。


 魔物は人の多さに引き付けられる。大市もあり、今は国中の人が集まっている。王都は常に結界で守られているから、魔物が近寄ることはない。けれど、守りのない王都なんて、恰好かつこうの的だ。


 奔鳥カロフェンに飛び乗った狩人かりうどたちが門から飛び出すと、森の奥からそろそろと魔物たちが姿を現し始めていた。その数は地平を埋め尽くすほど。勢い勇んで飛び出したヘデの口角もる。


「こないだ大量に狩ったんだけどぉ?」


「隠れてたんだろ。それか、結界が破れたせいできつけられたか」


「早くない? 全く、ヤになるね!」


 ヘデは双剣を素早く抜き取り、構えた。軽口をたたきながらも、その瞳は魔物どもを鋭く見据えている。雨にれた体が重くなる。準備も整っていない。


 それでも、皆、王都を守るために魔物の大群に突撃していった。




***




 時は戻り、戦場と化した協会。


 人の出入りが激しい場所に、ゆっくり話をしている余裕のある者など一人もいなかった。アレクシアはその混乱の隙間を縫うようにして、ジルドを奥の医務室へと運んだ。


 医務室の中は血の匂いが蔓延まんえんし、寝台はすでに取り除かれていた。床には布が敷かれ、そこに二十を下らない人が横たえられている。あちらこちらでうめき声が聞こえ、苦しむ人々の姿が広がっていた。


 ジルドと同じように腹をさばかれた者、腕や足を失った者、毒に侵されて激しく嘔吐おうとを繰り返している者たち。戦場のすさまじさが、その場に充満していた。


 アレクシアはどうにか空いた場所を見つけ、慎重にジルドを横たえた。彼の顔は蒼白そうはくで息はかすかだが、まだ生きている。


 外を見ると、アレクシアは真向かいの家の中から協会を見ている人物に気づいた。

 以前、屋台で串肉を焼いていた男だ。


 彼はおびえた表情で、窓越しにアレクシアを見ている。アレクシアが視線を合わせると、男は必死に拝んできた。彼の恐怖と切実な願いが、その動きから痛いほど伝わってきた。アレクシアは静かにうなずき、ジルドを気にかけながらも、医務室を離れることにした。


 協会内は混乱しながらも、皆が自分の仕事を果たしていた。魔物を狩る者、負傷者を治療する者、騒がず静かに避難する者。それぞれができる限りの役割を全うしていた。


 ――自分はどうだろう。


 アレクシアは立ち止まり、胸の中に重くのしかかる思いを感じた。周囲で必死に自分の役割を果たしている人々とは違い、何の役割も果たしていない。ただ状況に流されている自分に、苛立いらだちと無力感が募っていく。


 ――ずっと誰かに頼って生きてきた。


 役目をもらい指示に従って行動してきた。自分で責任を取りきることもなく、流されるままに生きてきた。王になるというのに!

 自らの未熟さを嘆いたこともあった。しかし、それを克服するために行動したことはなかった。


 ――助けてもらうんじゃない。


 すとんと心に降りてきた。自分が何をすべきかが、ようやく見えてきたのだ。立ち上がり、迷いを捨て、強い決意を胸に抱いた。


「私が助けるんだ……」


 ヘデが血塗ちまみれで駆け込んできた。

 アレクシアとヘデの視線が交わった。ヘデは息を切らせながらも、焦りを隠しきれない様子で矢継ぎ早に言葉を投げかけた。


「アリィ! よかった、どこにいた? ジルドは? ひとが足りないんだ、早く!!」


 ヘデの勢いに押され、アレクシアは思わず苦笑が漏れる。アレクシアの腕を引き、ヘデはまた外へ飛び出そうとした。その手を外して、アレクシアは静かに言葉を紡いだ。


「ジルドは、動けないわ。ごめんなさい、私も行けないの」


「はぁ?」


 ヘデは足を止め、意味が分からないと言いたげな顔で振り返った。戦場の混乱の中で、ヘデにはアレクシアの言葉が理解できなかった。


「何、言ってんの? 戯言たわごとに付き合ってる暇ないんだけど?」


 だん、と足を踏み鳴らし、まなじりげるヘデ。彼女の目には、煮えたぎるような苛立いらだちが見え隠れしていた。


「分かっているわ。ヘデ、あなたにここを任せます。私は別の場所に、」


 言葉を言い切る前に、ヘデの平手がアレクシアのほおを打った。


「馬鹿言ってんじゃねぇよ!」


 ヘデは怒りに満ちた声で叫んだ。


警邏けいらが役に立たない今、狩人あたしたちがどうにかするしかない! あたしらが行かないと、魔物が街に雪崩なだれむ! 呑気のんきな頭でもそれくらいは分かるでしょ!? そうなったら、どれだけの人が生き残れる! 子供たちも皆死ぬんだよ!!」


「私が加勢しても、元を絶たなければそれも時間の問題でしょう?」


 打たれたほおにはあまり痛みは感じなかった。ヘデの言葉は至極しごく最もであるが、アレクシアにだって理由があった。

 らすことなく、じっと緑の瞳を見つめていれば、ヘデはいぶかに眉をひそめた。


「王都には絶対の守りがあった。絶え間なく魔物が押し寄せる開拓拠点に比べて、王都に魔物が近づかなかったのは、結界が守っていたから。でも、今その結界が無くなって、魔物たちがたくさんの人が暮らす王都に集まってきた。これからも、もっと増えるでしょう。だから……結界をもう一度張らないといけないの」


「――それができたら苦労はしない!」


 ヘデが強く反論する。結界が消えた理由すらわからないのに、張りなおすなんてどうやって! 結界は神の御業みわざだ。


 じわじわと痛み始めるほおの感覚を無視し、アレクシアはヘデの手をそっと握りしめた。彼女の両手を包み込むように優しく、そして決意を込めて。アレクシアはヘデに顔を寄せ、耳元でひそりとささやいた。


わたくしはデュウォル王国王女アレクシア。大丈夫、わたくしがどうにかするの」


 突然の告白。ヘデは目を見開き、言葉を失ってしまった。彼女の開いた口がふさががらないまま、アレクシアはその脇をすり抜けて外へ向かう。


「……あーもう!! こっちほっぽり出すんだから! ちゃんとやってきなよ!!」


 後ろからヘデの声が飛んできた。

 怒りと驚きと鼓舞が混ざった声に、アレクシアは一瞬微笑ほほえみを浮かべ、そのまま雨の中王宮へ向かって走り出した。


 人気のない大路おおじを一人進んでいく。アレクシアの心には様々な思い出が浮かんできた。


 初めて城下に降り立った日のこと。ヘデに連れられた道。ジルドと見に行った劇場。換金所に行ったり、夕食を買いに出たり、いろんな人々と話し、活気にあふれた城下の街を楽しんだ。大市では、普段見ないような品々に触れ、驚きと喜びに満ちていた。


 苦しいこともあった。なぜと、嘆いたこともたくさんあった。

 多くの営みがあり、人々の生き生きとした生活が広がっていた。


 しかし、今はそのすべてが消え去り、静けさだけが大路おおじに刻まれる。雨粒ばかりが冷たく打ちつけ、足音以外は何も聞こえない。活気ある街のにぎわいが、まるで幻だったかのように感じられるほど、寂しい光景が広がっている。


「絶対に、あの喧騒けんそうを取り戻すの」


 アレクシアは自分に言い聞かせるように、小さくつぶやいた。

 そうして、王女は父母の元に帰りつく。





 アレクシアは玉座の間を見渡した。


 外は暗雲が垂れ込め、日差しを遮っている。窓帷など閉められていないのに、玉座の間はどこか仄暗ほのぐらく、凍えるような空気が漂っていた。


 玉座には母の亡骸なきがらが変わりなく座っていた。かつての女王の姿は、今も静かに、そして不気味に存在している。玉座の周囲には、いくつもの幾何学模様が組み合わさった魔法陣が描かれていた。血でも使って書かれたのだろうか。漂う悪臭にアレクシアは思わず顔をゆがめる。


 その魔法陣の中心に、華奢な王笏おうしゃくを持ったエルンストが立っていた。先端に珠角羚ユヴェレに生る宝石をめ込んだ、王笏。もう片方の手には宝珠を握りしめ、ぶつぶつと何かをつぶやいている。その姿は狂気に満ちていた。


「お父さま」


 アレクシアが一言、意を決して静かに声を発した。

 母に向き合っていたエルンストが、まるで弾かれたように振り返った。


「おぉ、アレクシア! よくぞ戻った、あの小僧によって湖に落ちた時には如何どうしたものかと思ったが、お前が生きて帰ってきたのならひとまず良い」


 エルンストは痩せこけたほおを緩ませて、にこやかに笑った。彼の目には一片の曇りもない喜びが宿っていた。


「さぁ、早くおいで。準備は終わっておる。あとはお前の血と魔力があればよい」


 エルンストは手招きし、アレクシアを魔法陣の中心へと誘った。

 彼の手招きに従いゆっくりと近寄った。足音ひとつさえ聞こえない静けさ。父は満足げに微笑ほほえみながら、娘にナイフを渡し、手首を切るよう促してきた。


 アレクシアもまた笑みを浮かべたまま、ナイフを受け取り、その刃を手首に当てた。そうして、ナイフを滑らせ、振りぬく勢いのままエルンストのほおを切りつけた。驚愕きようがくが浮かび、アレクシアはその隙を逃さず、父の手中の宝珠を狙って手を伸ばした。


「……一体何のつもりだ、アレクシア」


 間一髪で届かなかった。長引かせたくなどなかったのに。


 エルンストは、信じられないといった様子でほおに手を当てた。血がにじる頬を押さえながら、彼の瞳は徐々に怒りに満ちていった。


 アレクシアは冷静ににらむ父を苦々しく見つめ返した。すでに覚悟は決めていた。


「なぜだ……、なぜ分からんのだ!」


 エルンストは声を荒らげ、苦しそうに言葉を続けた。


「メルキシアの目覚めはお前にとっても良いことだろう!?

 母に会いたくないのか! メルキシアがいれば、まだ責を負うことだってない!

 お前の育てた花に囲まれ平穏に過ごせる!!」


 言い募る父の言葉は愛にあふれていた。己を傷つけ、隣に居てくれるひとジルドを傷つけ、大切な友達ヘデたちを傷つけ、民をも傷つけようとしていても。

 けれど、きっとその思いは本当だった。


 雨音が更に激しさを増す。誰もいない王宮で、玉座の間だけにひとの息が満ちる。


「ありがとうございます、お父様」


 アレクシアはただ、感謝の言葉を口にした。

 その言葉に、その笑みに、エルンストの顔に一瞬、光明が差し込んだかのような希望の色が見えた。自分の計画がついに理解され、娘が共に歩むことを決心したのだと思ったのだろう。


「でも、」


 続く声が、エルンストの顔を凍り付かせる。


「私は、私がお母さまに会いたいからと言って、皆が傷ついていいとは思えない」


 伏せていた目を上げ、父の瞳を射抜く。狼狽うろたえた姿に胸が張り裂けそうになる。


「っ傷ついたとて! メルキシアならばそれを容易にやせる!!」


「癒えたところで、抱えた恐怖は消えないの。傷跡はずっと残り続ける」


 問答は平行線でしかなかった。


「――そうか。ならば、その血だけ置いていけ」


 悔恨と歓喜。懇願と困惑。憤怒と悲嘆。

 混ざりあった感情にゆがんでいたエルンストの顔からすこんと表情が抜け落ちた。


 おもむろに、エルンストが王笏おうしゃくを構える。アレクシアの知らぬ言葉を紡ぎ、黒々とした魔力の塊が父の周りに浮かび上がった。


 彼の目にはもう、優しさや慈愛など微塵みじんも残っていなかった。黒い光に照らされ沈む。ただ母に再び会うためなら、何もかもを、娘も国をも犠牲にするという冷酷な意志がそこにあった。


 アレクシアは迫りくる魔弾を避け、父と距離を取った。


 弓を構え矢を放つも、容易たやすく打ち落とされる。それどころか、余勢を駆って魔弾がアレクシアの肌を裂く。ぽつりと血が落ちた場所から、魔法陣がほのかな光を発する。流るる血を服に吸わせた。


 結界の術式を解かれた『エレシスの瞳』は、膨大な魔力を辺りにらしている。それを王笏おうしゃくによって束ね、エルンストは思うままに操っている。


「もう少し、もう少しなんだ……」


 エルンストはつぶやくように繰り返し、アレクシアに向けて魔弾を放ち続けた。


 隙が見当たらない。


 悩むアレクシアの脳裏に、猩猿クレイナフェに襲われた時や路地ろじで追手から逃げた時の記憶がふとよみがえった。まだいない、もう勝ったと気をらしたら襲撃された。脅威をほのめかされ行動を抑制された。


 真正面から突破できないのなら、邪道だって選んでみせる。


 彼女は玉座に目をやった。わざとらしく、父に気づいてもらえるように。

 そして、弓を構えた。


「はっどこを狙って、――!?」


「えぇ、あなたを狙っておりません」


 けれど、母を狙ったわけでもなかった。

 もはや亡骸なきがらといっても、悪戯いたずらに傷つけるつもりもなかった。

 父の意識を少しだけ割ければ、それでよかった。


 だというのに。


「メル、キシア……?」


 放たれた矢は玉座に座る母の胸を貫いた。

 まるで吸い込まれるように。自ら向かい入れるように。


「どうして、なぜ、」


 悲痛な声が玉座の間に響く。取り落とした王笏がからりと音を立てる。宝珠も床を転がっていった。

 震える手をメルキシアのほおへと伸ばす父の背が、とても小さく見えた。


 母が生きていたころ、二人がアレクシアの待つ庭園にそろって来たことがあった。危ないからと押しとどめる侍従を振り払って抱きとどめられた日があった。仲むつまじく寄り添う二人の姿が今でも目に浮かぶ。

 何の代償もなく、母が帰ってくるならどれだけよかったか。


 けれど、アレクシアは選んだ。

 きっと、母も。


 毛羽立つ弓柄ゆつかを握り、矢筈やはずを弦につがえた。軽い力で弓を引き、指を離せば矢が放てるといったところで体を止める。

 じわりじわりと体内から魔力が流れていく。胎から腕を手を伝い、やじりへ。


 ぼやけた視界で、それでもまっすぐに見据えて矢を放った。


「さようなら。お父さま」

 ――どうか、お母さまのそばで安らかに。 


 エルンストが母のいる場所に逝けることを祈った。



 音の消えた玉座の間。血に染まった王笏おうしゃくと宝珠を手に、アレクシアは術式を組みなおした。やり方は一度見た。きっとそのための邂逅かいこうだった。


 幾何学が宙に浮く。エルンストが残した魔力と、この場に満ちた魔力を使い、王都を守るための守りを張り直す。足りない分は、自らの命を少しだけ削りながら。


 結界が編み直された。

 しばし失われていた王都の絶対の守りが戻ってきたことを、アレクシアははっきりと感じた。ずっと王都を守り続けてきた力が、再びこの地によみがえったのだ。


 ふと空を見上げると、雨はみ、雲の間から晴れ間がのぞいていた。蒼天そうてんに虹が架かっている。

 これで、王都はもう大丈夫だ。


 森から押し寄せる魔物だってもうこれ以上は増えない。結界内に入り込んだ魔物はヘデたちが確実に殲滅せんめつしてくれるだろう。


 安堵あんどとともに、体から力が抜け、アレクシアは魔法陣の上に倒れ込んだ。血が触れても、もう輝くことはない。体が重くて動かせない。


 視界が暗くなり、まぶたが重く閉じそうになる刹那、目に映ったのは、泣いているジルドの姿だった。

 彼が生きていることに、アレクシアは安堵あんどの中で意識を手放した。





 年の明ける冬至の日。最も日が短く、これから昼間が長くなる。命を奪う冬の終わりを告げ、やがて命が再び芽生え始める春が訪れる――再生の日。


 今日この日に、アレクシアの即位式が行われた。


 王都の結界が消え、守りを失った街を襲った魔物たち。その原因は闇に葬られ、真実は公にはされなかった。王佐であるエルンストの醜聞など、明かすわけにはいかない。公には、父エルンストが身を犠牲にして結界を張り直したことになっていた。


 しかし、水面下では数多あまた怨嗟えんさや不満がくすぶっていた。魔物の襲撃で命を落とした者、失った平穏、そして急な即位への疑念。それでも、表向きには平和が続くこの国で、アレクシアは冠をいただいた。


 新たな王として、国民の前に立ち、決意を言葉にする。平和を守り抜くこと、父の犯したあやまちを超えて、王国を導くこと。

 アレクシアの目には、これからの未来を照らす光が映っていた。

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罅入る心臓 速水ひかた @sekkei

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