ONE SUMMER OF ADVENTURE

２１．照れ隠し

　夜が更（ふ）け、亡くなった人たちの見送りが終わると、子供たちは建物の中で眠りについた。

　そして私とプレセアは外に残り、焚火を囲んでクラウドの帰りを待ちながら、これからの事を話し合うことにした。

「子供たちの事なんだけど、一日だけじゃなくて暫く見守ってあげるのはどうかな？　あの子たちだけじゃまだ自分達だけで生きて行くのは難しいと思うの」

「いいんじゃない？　明日で『はいさよなら』じゃ助けた意味もないし」

　反対はしなかったけど、プレセアの言葉は素っ気なくてちょっと冷たい。

　見た目も私の想像してたプレセアと違ってギャルだから余計にそう感じる。（偏見です。ギャルのみなさんごめんなさい）

　でも、今までの流から内心ではちゃんと子供たちの事を心配してるのがよくわかってる。

　だから、私にはもうプレセアが素直になれなずに照れ隠しをしているツンデレにしか見えない。

　召喚したばかりの頃こそ抵抗があって上手く話せなかった気もするけど、今は可愛くて可愛くてしょうがない。

　見た目はアレでもプレセアはやっぱりプレセアなんだね。

　中身は優しい心を持った仲間想いの可憐な乙女なんだね。

　お姉様は嬉しいぞ。

「うん、そうだよね」

　私はちょっとにやけながら言った。

「お姉様、何なの？　その顔は？」

「べつに～」

「変なの」

　†

「しばらく見守るにしても、いつまで一緒にいるのか、それまで何をするのか、色々と決めないと」

「そうね」

〈三姉妹の魔女と五人の騎士〉において、アリシアたちは危害から助けた子供たちが孤児だった場合、孤児院などの頼れる大人たちがいる施設へ預けていた。

　ここが物語の世界であってもなくても同じようにするつもりだけど、〈三姉妹の魔女と五人の騎士〉の世界じゃなくて未知の世界だったとしたら、まずは子供たちを預けられる施設や施設のある町村を探すところから始めなくちゃいけない。

　聞いた事のない村の名前や、見た事のない地形から、未知の世界である可能性が高いという事はプレセアも感じていた。

　尤も、プレセアにとっては”未知の世界”じゃなくて、”未知の大陸”という認識だけど。

「とりあえず、ガキたちの事を抜きにしても情報収取が最優先事項だわ」

「うん」

　プレセアの言葉に私が相槌を打った時だった。

「アリシア様、プレセア様。任務を終え、ただいま戻りました」

　野盗のアジトに残ったクラウドが帰って来た。