9.無法地帯

「おかえり、クラウド」


 私がクラウドにおかえりを言うと、


「おつかれ、まぁ座りなよ」


 プレセアが椅子として使っている長い丸太をポンポンと叩いた。


 ちなみに私は座りやすい形の大きな石に座っている。


「失礼します」


 クラウドは少し離れてプレセアの横に座った。


「差しつかえなければ盗賊たちから得たの地の情報を共有したいと思います。よろしいでしょうか?」


 クラウドは私たちの視線が自分に集中しているのを悟ると、得た情報を話していいか聞いて来た。


 私はクラウドに盗賊たちから、この世界に関する情報を聞いてくるようには言っていない。


 それどころか思い付きもしなかった。

 

 だから『偉いね』って感じで褒めようとしたんだけど、プレセアが当たり前のような顔をして聞こうとしていたからやめた。


 クラウドも同じ顔をしている。


 思い付かなかったのは私だけみたい。


 あぶない。あぶない。


 みんなを纏めるリーダーのなのに恥をかいちゃうところだったよ。


「え、ええ……お願いするわ」


 私がお願いすると、クラウドは一礼してから話し始めた。


「俺たちが今いる場所、ユミル村ですが、クリザリアという王国の南西に位置しているそうです」


「クリザリア王国? 聞いたこともないわね。国名すら知らないんだから村の名前を知らないのも当然だわ」

 

 とプレセア。


「王都や他の町や村の情報はあった?」


 と私。


「はい、王都となるダーナは国の中心部に位置し、十数個の町村がダーナを囲むように点在しているそうです」


「なんだ。それだけの居住地域があるなら思ったよりも少しは国として機能してそうじゃない。未だに救助が来ないから無法地帯なのかと思ってたわ。これならガキたちの受け入れ先も直ぐに見つかりそうね」


「それが、統制が取れているのは王都であるダーナだけのようです」


「王都だけ? どういう事? ダーナ以外で暮らす人たちに対して国は何もしないって事かしら?」


「何もしていないわけではありませんが、基本的に税金や資源などの徴収をするだけで王都の外で起きた事故や犯罪について国が取り締まる事はないそうです」


「え? 犯罪者は放置されてるの?」


 信じられない内容に私は自分の耳を疑った。


「盗賊たちはそう言っていました。犯罪を犯した者の中には王都から追放刑を受けた者もいるようですが、彼らに関しても国は関与しません。罰として王都を追放されても、監視されることもなく野放しになっているそうです。ユミル村を襲った盗賊たちは正にその追放された者たちでした」


「犯罪者を追い出すだけ追い出して後は現場にお任せってわけね。前言撤回、普通に無法地帯だわ」


 プレセアは呆れた顔をして言った。

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