17.閃き

 飛竜に乗ってる時に空から地上を見た感じだと、ユミル村からここまで軽く五十キロはありそうだった。


 歩いて帰るにはちょっと厳しい距離。


 広くて長い川や険しそうな谷もあったから徒歩だと最低でも二日は掛かりそう。


 みんなが入れる大きなかごとかあれば飛竜に運んでもらうんだけどなぁ……ん? 大きな籠?


 私はひらめいた。


「クラウド、ちょっと子供たちを見てて」


「わかりました」


 私は急いで洞窟に戻り、中から鉄格子の檻を引きり出した。


 この檻をかごとして使おうと思ったのだ。


 そして一旦クラウドに飛竜を呼んで来てもらい、さぁ準備OK。


「みんな、お願いがあるんだけど聞いてもらえる?」


「……なんでしょうか」


 一番背の高い女の子が恐る恐る言った。


「もう少しだけこれに入っててもらえるかな」


「「え……」」


 さっきまで閉じ込められていた鉄の檻に入れと言われて絶句する子供たち。


 ちょっと酷な事を言っているのは自分でもわかってる。

   

 それでも長い道のりを歩いて帰るよりはマシだと思った。


 早くマリアちゃんにみんなの無事も知らせたいしね。


 でもその前に……。


「あ、ああああ……」


「あわわわ……」


 子供たちは飛竜をめちゃくちゃ怖がっている。 


 害のない動物だって教えてあげないと。


「大丈夫、怖くないよ。あの子はね、お姉さんのお友達なの」


「りゅ、竜と友達!? お姉ちゃんもしかしてま……」


 一人の女の子がそこまで言うと、一番年上っぽい男の子が慌てて女の子の口を手で塞いだ。


「す、凄いですね。りゅ、竜と友達なんて、は、はは……」


 落ち着かせるつもりが余計に怖がらせてしまったみたい。


 竜を従える悪魔に思われたかも。

 

 とりあえず檻の用途を説明して納得してもらった。

  

 正し不安はまだいっぱいな感じ。


 さて……。


 私は二つの盗賊の山に目を向けた。


 ユミル村に帰るにしても、目の前にいる犯罪者たちをこのままにしておくわけにはいかない。


 もちろん一緒に村に連れて行くのもダメ。


 被害者である子供たちにとっては極悪な加害者、二度と会いたくないはず……いや、どうなんだろ?


 村の人達の仇を取らせてあげた方がいいのかな?


 でも子供にそんな事をさせるのも違うよね?


〈三姉妹の魔女と五人の騎士〉だと、警察組織や自警団なんかのしかるべき場所に引き渡してたけど……。


「うーん」


 と悩んでいたら、


「こいつ等の後始末なら俺がやります。アリシア様は子供たちと先に村に戻っていてください」


 クラウドが自分に任せて欲しいと言ってくれた。 

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