10.関係
目を覚ました時、私はプレセアに膝枕をされていた。
「おはよ、お姉様」
上から笑顔で私の顔を覗き込むプレセア。
「お、おはよ……」
寝ぼけていたのと、環境の急展開で一瞬、状況が思い出せず、『誰ですか?』と聞きそうになってしまった。
あぶない。あぶない。
「そうだ! 女の子は!?」
女の子の事を思い出し、慌てて起き上がった。
「彼女はここに」
女の子はクラウドの
穏やかな寝息を立てている。
体に異常は無さそうだ。
私は胸をホッと撫でおろすと、
「ごめんなさい、呼んでおきながら眠ってしまって」
せっかく来てくれて女の子を助けてくれたのに、醜態を見せてしまった事と、眠ってしまったことで二人に迷惑かけた事を真摯に謝罪した。
「何言ってるのよ。そんな事で深く謝らなきゃならない関係じゃないでしょ」
「その通りです」
ほんの少しだけ強い口調で言うプレセアとクラウド。
聞き慣れていない言い方だ。
変に気を使った言葉と違って、遠慮のない言い方は私にとってとても心地が良かった。
「ありがとう、二人とも」
「ん? 何のお礼?」
†
女の子は私が起きてから二十分後に目を覚ました。(ちなみに私自身は一時間くらい寝てたみたい)
女の子は酷く脅えた表情を見せたかと思うと、正面にいる私の手を掴み、
「お願いします! 助けてください! お願いします!」
涙を流しながら必死に助けを求めてきた。
「私たちに出来る事なら協力するわ。だから落ち着いて」
私は女の子の両肩に優しく手を置いて言った。
「は、はい……ごめんなさい……」
安心したのか、女の子は泣くのを抑え、落ち着きを見せてくれた。
「何があったの? 詳しく教えてくれる?」
「村が、私の住んでいる村が悪い大人たちに襲われたんです。お父さんとお母さんは私を守って……それで、それで私……」
そこまで言うと、女の子は涙を流して話を続けられなくなってしまった。
けど、
「よく話してくれたね。ありがとう」
それで充分。
彼女が彼女の両親に救われた命を使って助けを求めていた事はわかった。
だから私は、私たちは、すべき事はする。
「プレセア、クラウド、行くわよ」
「ええ」
「はい」
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