ONE SUMMER OF ADVENTURE

１１．SS 譲れないもの

　私が起きてから女の子が目を覚ますまでの間——

「プレセア、その恰好なんだけど……」

「可愛いでしょ。魔法で作ったの」

「うん、まぁ……（魔法で？）」

　私が目を覚ました時、パン一姿だったプレセアは、なぜか学生服（ブレザー）を着ていた。（なんとなく私の通っている学校の制服に似ている）

　着崩したワイシャツに、パンツが見えそうでギリ見えない長さのスカート。

　私の苦手な陽キャのギャルだ。

　彼女（ギャル）たちに自分からは絶対に話しかけられないし、実際に話しかけたことは無い。

　だけど今の私は、そのギャルのお姉さんだ。

　姉として言うべきことは言わないと。　

「スカート、短過ぎない？」

　パンツの長さとスカートの裾の長さが同じ。

　こんなの、ちょっとした動きでパンツが見えちゃう。

　見てるこっちがハラハラトキドキしてしまう。

「そう？　こんなもんじゃない？」

「いやいや、絶対に短過ぎるよ。これくらいが妥当」

　私は腰で折って短くしているスカートを伸ばした。

　おかげでスカートの裾は膝が少し隠れるまでの長さになり、パンツが見える心配はほぼ無くなった。

「いやいや、これはないでしょ。流石にない。せめてこれくらい」

　プレセアが伸ばしたスカートを折った。

「元の長さと殆んど変わらないじゃない。最低でも太ももは隠しなさい」

　負けじとスカートを伸ばす。

「ちょっと、センス無いわよお姉様」

　スカートを折る。

「駄目、妥協点はここ」

　スカートを伸ばす。

　折る、伸ばす、折る、伸ばす。

　私たちは女の子が目を覚ますまで繰り返した。