一人称と三人称どっちがいい?—いやどっちも使おう

最近、ボクが書いたラブストーリーを読んだ作家から「自分もラブコメを書きたいけど、三人称でも成立すると思う?」って相談をされたんですよ。 なるほど、ラブコメっていうと一人称で感情をじっくり掘り下げるのが王道って感じもしますよね。でも実は、三人称でも充分に成立するんです。


この会話をしているうちに、ボクはふと思ったんです。「一人称と三人称、これ両方使い分けたらいいんじゃね?」って。実際、ボクも作品の中で自然とそうしています。


今日は、そんな一人称と三人称の使い分けについてボクなりの考えをシェアしていきます。


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『一人称の良いところ、悪いところ』


ラノベ作家たちがよく使う 一人称視点。これは「オレはこう思った」「ボクはここに行った」みたいに、主人公の内面にぐいぐい迫れるのが魅力です。ラブストーリーなんかでは、主人公のドキドキした気持ちや、相手に対する切ない思いを描くとき、読者もその感情に共感しやすくなりますよね。


でも、一人称にはデメリットもあるんです。それは、主人公の視点に縛られてしまうということ。他のキャラが何を考えているのかとか、別の場所で何が起こっているのかは、主人公の視点からじゃ見えない。だからラブストーリーでも、「彼女がどんな風に感じているのか」は主人公にはわかりません。それが、内向的なオタクの視線(妄想)で共感をさそうラノベ独特の文化といえばそれまでだけど、こだわりすぎると読者も、あくまで主人公の目を通してしか物語を追えないわけですね。


『三人称の自由さ—でもそれで満足?』


一方、三人称視点は、すべてを客観的に描けるのが強み。「彼女はこう思っていた」「彼はこんな行動をとった」といったふうに、物語全体を俯瞰的に見せられます。これなら、読者に対して状況や他のキャラの心情を全部見せることができる。


ラブストーリーでも、「彼はこう感じているけど、実は彼女は全然違うことを考えている」みたいな描き方ができて、読者に対しては効果的な情報ギャップを作れます。


でも、三人称には感情移入のしにくさがあるんです。どうしても主人公との距離が遠くなり、読者が外から「観察する」感じになってしまう。主人公の内面にぐっと入り込む感覚が薄れがちなんですよね。


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『使い分けが最強!』


そこで、ボクがよく使うのは「一人称と三人称を使い分ける」という方法です。たとえば、主人公の感情を深く描きたいシーンでは一人称、でも他のキャラの心情や物語全体の流れを描きたい時には三人称に切り替える。これなら、感情の深みもストーリーの広がりも、どちらも手に入れられるんです。


たとえば、1章は主人公の視点で「ボクは彼女に惚れてしまった」みたいに一人称で進め、次の章では彼女がどう思っていたのかを三人称で描く。こうすることで、読者は「彼女の気持ちもわかるし、主人公がどんな勘違いしているのか」も理解できるんです。


さらに、一人称で感情を掘り下げつつ、三人称で物語全体を見渡す。これ、フラッシュバックやサブキャラの視点を使うときにも使える手法です。


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『フラッシュバックやサブキャラ視点も使える!』


一人称と三人称の切り替えは、フラッシュバックにも効果的です。過去のトラウマや感情をじっくり描きたい時は一人称で描き、物語の現在進行形では三人称に切り替えてテンポよく展開する。こうすることで、物語全体のテンポが崩れることなく、感情の掘り下げもしっかりできます。


また、サブキャラの視点を三人称で描くのも良い手法です。主人公が知らないところでサブキャラが何を考え、何をしているのかを描くことで、物語に奥行きを与えることができます。たとえば、主人公が全く気づいていないところで、サブキャラが裏で大きな動きをしている……なんて展開も三人称視点だからこそ効果的です。


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『信頼できない語り手を一人称で使う』


もう一つ面白いテクニックとして、「信頼できない語り手」を一人称で使い、三人称で真実を描くという方法があります。主人公が「こうだ」と信じ込んでいるけど、実は全く違うことが起こっていた、という展開。これで読者は、「主人公に騙された!」という驚きを体験できます。


たとえば、ラブストーリーで「彼は彼女に愛されている」と信じていたが、実は彼女は全然そんなことを考えていなかった、なんてシーンを作ることができるんです。読者を驚かせ、物語に意外性を持たせることができます。


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結論:『使い分けちゃえばいいんだよ』


というわけで、今日は「一人称と三人称の使い分け」について話してみました。結論としては、どちらか一方にこだわらず、シーンや目的に合わせて視点を切り替えることで物語はより深く、面白くなると思います!


主人公の感情をじっくり描きたい時は一人称、物語全体を広く描きたい時や他キャラの視点が欲しい時は三人称。これを使い分けることで、物語に深みが出るし、読者を飽きさせずに進められるんではないでしょうかね。


ボクたちネット小説家は、自分の物語を自由に構成できるんだから、頭をやわらかくして、視点も自由に使い分けて物語をもっと面白くしましょう!


まぁ、最終的には「自分が楽しめるかどうか」が一番大事ですけどね。



—あとがき—


『世界を立体的に見る映像作家の視点』

プロフィールに書いてるようにボクは映像作家・監督が本業でそっちのキャリアはけっこうあるんですが、映像を構成する際のカメラ(視点)に、主観(主人公の視点)客観(誰かの視点)神(俯瞰視点)物(物体視点)

ていうのを使い分けて世界を立体的に伝えていくんですね。映像で主観のみの表現ていうのはよほど狙ったホラーとかでないかぎりあり得ないというか、平面的すぎて表現が狭すぎる、伝わらないんです。


なので小説(シナリオ)を立体化する上でカメラ(視点)の構成っていうのはとても重要で当たり前の手法なんですけど、ボクの場合は最初から(視点)を意識して小説を書いてます(ていうか自然とそうなる)。

ボクの小説がスイスイ読める、展開が早いって評価が多いのも、実はこいう立体化した視点転がしでリズムをつくったりしてるからかもです。

映像は止まれないので展開のリズムを作るのはもともと得意……逆にじっくり思考させる小説を書くのは苦手なんですけどね!

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