見えないものが見えるとき、世界はちょっと面白い

 「アタシにしか見えないんだよ」は、どこか不思議でクスッと笑える、放課後の空気をそのまま閉じ込めたような物語です。

 主人公の“見え方”がずれていく感覚も、軽妙な会話も、読むほどクセになります。現実と非現実の境界がふわっと溶ける感覚は、まさに“泡”のような浮遊感。だけど、ユーモアの裏にはちょっぴり切なさや自分だけの現実への肯定も感じられて、不思議と元気がもらえるんです。

 読んでいるうちに、自分のまわりの時間まで少し歪んで見える気がしてくる。読後には、世界が少し違って見えるかも。

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