第1章 殺し屋の痕跡
第8話 魔の手
混沌街、入り組んだ路地裏にて
(俺はどこから間違えたのだろう………)
(これから上り詰めてやるって時に………)
「はぁっ…はあっ…」
男はもう動かない足を懸命に動かし、何かから逃げる
突如目の前にあの女が現れる
「っ!」
(あれが殺し屋、あんなの聞いてねぇよ!)
逃げても逃げても少女は男の目の前に現れる
男は決死の力をもって近くの廃工場へ逃げ込む
だがしかしやがて足は動かなくなり、
ガラクタの山へ倒れ込む。
無情にも少女はまたしても目の前に現れる
少女は鉄の棒を拾い、片手を男の前へかざす
直後
「っ!?」
太腿が何かに貫かれるような感覚を感じる
男の太腿に突き刺さっていたのはあの鉄の棒だった
自覚した瞬間、激しい痛みが男を襲う
「ぐあぁぁぁぁあ!」
そこで男の意識は途切れた。
女子学生服の上に黒いパーカーを着た少女が1人、
死体と一緒に廃工場の真ん中に座り込んでいる
「それで、これは捨てるか?」
少女は不機嫌な様子で電話の向こうに尋ねる
電話の向こうの男は言う
「そうしてくれ、だが必ず誰かにみつかるように、な」
「分かった。」
少女はそのまま電話を切る
「めんどくさ………本当萎えるわ……」
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