第7話 何でも屋
初めての喧嘩をしたその夜、
怜の前には大きなテーブルに様々な料理が並ぶ
怜の左隣にXが座っており、その左にメイド、対面には社長、トレンチコートを着た中年の男、金髪でツインテールの少女が座っている
怜とメイドを除いて、全員黒スーツを着ている。
(顔合わせかぁ、緊張するなぁ……)
(料理はメイドさんが作ったのかな?)
怜はどうにか緊張を紛らわそうと別の事を考える
やがて怜の左隣に座っているXが口を開く
「さてさて今日皆に集まってもらったのは、他でもない……新入社員の…伊石怜君だ!」
とXは怜に手を差し向ける
そこまで広くもない空間に5人の拍手が鳴る
「ではでは主役の怜君、一言どぞ!」
Xは怜にマイクを向けるような仕草をする
(そんな事き、聞いてない…)
(焦らず落ち着いて…)
「よ、よろしくお願いしましゅ…」
緊張と焦りで噛んでしまった
顔が赤くなっていくのを感じる
Xは気にも留めず、
「怜君を紹介した事だし、次は我々の番だ。」
最初に紹介するのは、
怜の対面にいる丸眼鏡の男、社長だった。
「一度会った事あるね。最初に、この男がここの社長だ。」
Xは社長に手を差し向ける
「よろしくね、怜君。」
社長はにこやかに怜に手を差し伸べ、
(良い人そうだ…!)
「はい、よろしくお願いします…!」
その手を掴み、握手する
その手はひどく冷たかったが、微かな温もりを感じた。
次にXは左隣にいるメイドの肩を掴み、
「この子には会った事あるね。」
「私の最初の発明、メイドのメイさんだ。」
と紹介される
(発明……?)
「発明……?」
思わず考えている事が口に出てしまう。
「ああ、そうだ」
「名を対能力者制圧機動人形、冥だ!」
Xは得意げに言う
「ソウナノデス。」
メイもなんだか得意げにしている
(つまり、ロボットって事だよね…)
普通に接していれば片言の美女だ。
見た目も相まって外人さんにしか見えない。
「ヨロシクオ願イシマスネ。」
「そしてこの仏頂面が『faker』」
Xはトレンチコートの男を指差す
「………よろしく。」
(寡黙な人だ…仕事人ぽい…)
「よろしくお願いします……」
怜はぺこりと頭を下げる
続いてXは金髪の少女に手を差し向け、
「こっちのちびっ子は『白田』ちゃん」
「だれがチビや!いてこますぞ!」
白田はXに向かって中指を突き立てる
(小さいけど怖い人だな……)
「それに、こうはい!」
白田は怜の方へ向き直り、
「は、はい!」
思わず大きな声が出る
「ウチのことは『せんぱい』とよぶように!」
と笑顔で怜に手を差し伸べる
「は、はい…先輩…」
恐る恐る手を取り握手する
「最後に、私が美少女博士のXだ!」
Xは立ち上がり、腕を交差させて決めポーズをする
言わずもがな変な自己紹介だ。
社長はXを尻目に言う。
「私たち、シークレットロマンは『リサイクルショップ』と言う体で活動している。だが本質は裏社会の依頼をこなす『何でも屋』だ。」
続けて
「これからは私たちが君を強くするよ。」
と怜に手を差し伸べる
「君を立派な裏社会の住民にしてやろう!」
Xは怜の肩を叩く
「よろしくな、こうはい!」
「………よろしく。」
「宜シクオ願イシマスネ」
残りの3人が思い思いの言葉を投げかける
もしかしたら、とんでもない所へ来てしまったのかもしれない。
と思ったが怜はあまり深く考えない事にした。
何でも屋の夜は食器の音、笑い声を含んで更けていく。
後に降りかかる災厄を知らずに
第0章 完
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