めんたる村の妖精ぶるぶるの初恋

本編「めんたる妖精村の妖精ぶるぶるの初恋」

　🎃🍬登場人物紹介🎃🍬

　恐れの妖精ぶるぶる

　恐れの感情を守る妖精の女の子。おばけとハロウィンが苦手。

　妖精ぶるぶるaiイメージイラスト

https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093086689703992

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　ここは感情を守るめんたる世界のめんたる村。

　人の世界では、今は秋、ハロウィンの季節です。

　街路樹が紅葉して、めんたる村にも、後、2日でハロウィンがやってきます。

　恐れの感情を守る妖精の女の子、ぶるぶる。青い羽と、群青色のショートの髪と瞳を持ち、蒼いキャミソールワンピースと白のブラウスを着ている。

　いつも、ぶるぶるなにかを怖がっている様子の怖がりの子です。

　だから、ぶるぶるにとってハロウィンは、楽しいイベントではありません。

　だって、ぶるぶるはおばけも視えちゃう。

　収穫祭の他にあの世のおばけも帰ってくる、この時期は本当に困るのです。

「トリックオアトリート！　トリックオアトリート！　お菓子くれなきゃイタズラしちゃうぞ」

　妖精の子供達が、楽しそうに歌いながら、ぶるぶるの前を通り過ぎて行きます。

「ああ、お菓子なんていらないから、早く終わって欲しいのぶるっ」

　ぶるぶるは、小声でつぶやきます。

　ぶるぶるが、公園の前を通りかかると、赤い服に半ズボン、赤い髪のトゲトゲヘア、赤い瞳の妖精の男の子、いらいらがブランコに乗っていました。

「あっ……いらいら君ぶる」

　いらいらとぶるぶるは、最近学校で知り合って、友達になりました。

　怖がりのぶるぶるだけど、いらいらは怖くないのです。

　イライラしているけど、とても優しい。大好きないらいらを、ぶるぶるはいつも見つめています。

　でも、そんないらいらが春になると、心なしか嬉しそうなのに、他の季節には何となく、悲しそうで、切なそうにぶるぶるには見えるのでした。

　そんな、彼のことが気になってぶるぶるは、いらいらに声を掛けようとした時、いらいらが、ため息を吐いて一言、名前を呼んだのです。

「……チェリーブロッサム、元気にしてるいらか」

　えっ、チェリーブロッサム？　

　ぶるぶるはなんとなく、嫌な予感がしました。

　そう思った途端、ぶるぶるの体が震えだして、顔が青ざめて来ました。

「いらいら君っ、あたし、あたしっっ」

　ぶるぶるは、あまりに不安になったり、怖くなったりすると息が苦しくなるのです。

「はっ、はっ……いらいらく……」

　ぶるぶるは、苦しさに咳き込みながらいらいらのいる方へ手を伸ばしました。

「ぶるぶる……！」

　いらいらは、ぶるぶるがうずくまっているのに気がついて、駆けて来てぶるぶるを支えます。

「ぶるぶる、しっかりするいらっっ！」

「いらいら君っ」

　🎃🍬

　いらいらは、ぶるぶるが少しだけ落ち着いた後、公園のペンチにぶるぶるをおんぶして運んだ。

　ぶるぶるは、ポシェットに入っているお薬を水で飲んだ後、しばらく横になっていました。

　すると、いらいらはベンチに直だと、頭が痛いからとずっと、膝枕で付き添ってくれました。

　しばらくして、胸の苦しさが取れて、ぶるぶるはゆっくり目を開けました。

　いらいらが膝枕をしてくれているのに改めて気が付いて、嬉しいのと恥ずかしいので、顔が紅葉のように真っ赤に染まります。

「いらいら君、ありがとぶる」

「ぶるぶる、少し楽になったかいら？」

　いらいらは、優しい微笑みでぶるぶるを覗き込みます。

「うん」

　いらいらは以前より、性格が穏やかになっていました。

　それは、春の精、チェリーブロッサムのおかげでもありました。

「いらいら君、なんか寂しそうぶる。大丈夫？」

　ぶるぶるは、さりげなく聞いてみます。

「ああ、そうかもしれねえないら」

　いらいらは、切なそうに笑います。

「いらいら君、あたしとハロウィンパーティしないぶる？」

「え、だってお前、怖いんじゃ」

　いらいらが心配して聴いて来ました。

「いらいら君と一緒なら、怖くないぶる。おねがい」

「仕方ねえな」

　いらいらは笑って言いました。

　その年のハロウィンは、ぶるぶるにとって、これまでにない楽しいハロウィンになりました。

　🎃🍬登場人物紹介⓶🎃🍬

　怒りの妖精いらいら

　怒りの感情を守る妖精の男の子。いつもイライラしているけどとても、優しい。

　怒りの妖精いらいらaiイラスト

https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093086689879504

　おわり