第15話 Sometime(15)
「浩斗が?」
志藤はゆうこからその話を聞いて驚いた。
「うん。 今日偶然に浩斗くんのママに会って聞いたんだけど。 ひなたも浩斗くんからその話があったのかなあって、」
ゆうこは夕飯の支度をしながら少し落ち込み気味に言った。
「NY、」
きっとひなたたちにとっては大人の自分たちが思うよりずっと
遠く
遠く
感じるんだろう。
おねえちゃんがないてませんように
ななみはずっと机につっぷしたままのひなたの背中を見ながら
そればかりを思っていた。
夕飯どきも
もう見た目にもわかるほど打ちひしがれているひなたにみんな気を遣ってしまった。
「おねえちゃん、イチゴたべないの? おれにちょうだい、」
全くこの空気を読めてない涼太郎が手を伸ばした。
「え、こころもたべたい!」
「おれがさきにいったんだろ!」
弟妹のいさかいが始まっても
「ふたりで分けて食べなさいよ、」
ひなたは大好物のイチゴを食べるのもめんどうなようで器を二人に差し出した。
ゆうこと志藤は無言で視線を合わせた。
かなり。
ショックを受けてる・・
モロわかりなのだった。
「ちょっと、コンビニいってくる、」
ひなたは早々に夕飯を終わらせて言った。
「もう暗いで。 おれもタバコ買いに行くから一緒に、」
心配した志藤は席を立った。
二人で並んで歩いても、ひなたは何となくうなだれるようにして何もしゃべらない。
「・・浩斗。 NYに行くんやって?」
たまらず志藤が切り出した。
「え、」
ひなたはその話を知っていた父に驚いた。
「ママが。 今日の昼間浩斗のお母さんに会ったんやって。」
「・・ふうん、」
「浩斗からも聞いたんやろ?」
そう言ったとたん
ひなたはふっと立ち止まった。
「・・なんか。 腹立って。」
「え?」
「あいつ。 言うだけ言ってスッキリしちゃって。 ひとりではしゃいで、」
ずっと我慢していた気持ちが
切れた。
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