第13話 Sometime(13)
いつまでも一緒だって思ってたのに。
こんな急にいなくなるだなんて言わないでよ
ひなたは落ち込んでしまって口をきけなくなってしまった。
「な、おれこの前そのお父さんになる人から小遣いもらっちゃったから。 スカイツリー、上ってみよっか、一番上まで。」
反対に浩斗は悩んでいたことを言えてスッキリしたようで、急に元気になった。
「は?」
「行こう、行こう! 前は高いからって母ちゃんが一番上まで連れてってくんなかったんだ、」
浩斗は自然にひなたの手をとった。
浩斗くんが
アメリカにいっちゃう・・?
聡明なななみは母親たちの話を聞いてすべてを理解した。
大好きな浩斗が遠くへ行ってしまう
という寂しさより
なぜか姉の顔が浮かんできてしまって。
ひなたと浩斗が離れ離れになるということを想像してしまい胸がいっぱいになった。
「うおー、すっげー。 ロケット発射みたい!!」
エレベーターの上が透けて見えて、本当にまるで天まで昇っていくかのようだった。
浩斗は上を見ながらはしゃいでいた。
手をつないだままエレベーターを降りると
もうそこは天空の世界のようだった。
「すっげー!!」
浩斗はひなたを引っ張るようにガラスに向かって走り出した。
はしゃぐ浩斗はもう幼稚園の頃そのまんまの横顔で。
「すげー! ホラ、あんなに車がちっちぇえ!」
さっきから
すげー
しか言ってないよ、あんた。
そうやってつっこむことも
できないでいた。
あんた
あたしのこと好きなんでしょ?
離れたくないって
思わないの?
言いたいことだけ言ってスッキリした顔しちゃって。
離れ離れになっても
いいの?
今まで
こんな気持ちになったことない。
せっかくのスカイツリーからの大パノラマも
まったく目に入ってこなかった。
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