第8話 sometime(8)
ひなたは本など全く読まないのだが、クラスで人選でモメてしまったがために
図書委員をすることになってしまった。
今日も委員会で遅くなってしまった。
「じゃ、さようなら~~、」
数人が図書室に残っていたが帰ろうとした。
「あ・・志藤さん、」
3年生の委員長・駒田に呼び止められた。
「はい?」
「ちょっと、」
と手招きされて部屋の隅っこに連れて行かれた。
「なんですか?」
「ね。 志藤さんて。 つきあってる人、いるの?」
そう質問された時点で『フラグ』が立ったのがわかった。
「え・・っと・・いや、別に、」
すぐ浩斗のことを思い出したが、どう考えてもつきあっているとかのレベルでもなかったので曖昧に濁した。
「つきあって、ほしいんだけど・・」
駒田は恥ずかしそうに少しうつむき加減に言った。
「え、」
実際。
ひなたは中学に入ってからこのように男の子から告白されるのが5回目だった。
告白慣れ、と言ったら変なのだが
だんだんとそうなる前触れみたいなものがわかるようになってきているのも事実だった。
一応驚いたような声を出してみたものの
『フラグ』が立っていたので実際はそんなに驚くことはなかった。
「あたし・・今、あんまりつきあうとか考えられないので。 ・・ごめんなさい、」
断り方も
慣れてきてしまっていた。
こんなことがあると
気軽に話をしていた人とも何となくぎこちなくなり、疎遠になっていくことのほうが嫌だった。
駒田はいろいろと図書委員の仕事を教えてくれたり
やさしい先輩だったのだが
またこんなことがあると気まずくなる。
ひなたは小さくため息をついた。
どうしてみんな
特別になりたがるんだろ。
みんなで楽しい方がいいのに。
やっぱりどうしても理解できなかった。
あたしがヘンなのかな。
やっぱりみんな裕香たちみたく
好きな人のことばっかり考えたいのかな。
さすがに
悩み始めるのだった。
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