第7話 sometime(7)
「ほんまにええんかな~~~~」
寝るころになっても志藤は腑に落ちなかった。
「まだ言ってる。 まあ浩斗くんだから。 知らない子じゃないし、何かあるとも思えないし・・」
ゆうこはのんきに髪をとかしながら言った。
「今までは友達が一緒でもよかったのに。 急に二人で、なんておかしない? あいついらんこと考えてんちゃうかなー、」
さすがに男目線の志藤は見る目が厳しかった。
「中学2年生だもの。 恋に憧れる年頃じゃないですか。 男の子だって女の子だって。 浩斗くんなら健全につきあえると思うんだけど、」
「健全かあ?」
ゆうこはしつこく疑う志藤にくるっと振り返り
「ま。 あなたの中2のころは健全じゃなかったでしょうけど。 みんなが自分とおんなじなんて思わないでください、」
と冷たく言い放った。
「お、おれが不健全だったとでもいうんか!」
「え? 違うの?」
思いっきり突っ込まれ
それにもリアクションがとれないという情けなさ。
中2のころの自分は
3人目くらいの彼女がいたりして。
キスくらいはしてたし
恥ずかしげもなく手をつないで歩いたり。
・・・・
いやしかし。
やっぱりどうしても納得できない志藤だった。
「おはよ、」
浩斗は翌朝、普通にひなたに声をかけてきた。
「あ・・おはよ、」
少しどきんとした。
「ねーねー。 すげーおもしろい動画とった。 あとで見せてやる、」
いつものようにくだらない冗談を言う浩斗は
昨日の電話で
『二人で行きたい』
と言った人物とは別人みたいだった。
昨日の話は学校では一切してこなかった。
「えっ・・キスって・・」
ひなたは思わず声が大きくなってしまった。
「しっ!! 声大きいって、」
親友の裕香はあたりを見回した。
「昨日一緒に帰ったときにね。 なんだか・・別れ際に。 ちょっとびっくりしちゃった、」
そして夢見るように言った。
「えー。 だって松本先輩とつきあいはじめたのついこの間じゃん・・」
オクテのひなたは彼女がキスを経験したという話を聞いただけで信じられなかった。
「そんなに早くもないよー。 でも・・うれしかった~~、」
思い出したのかため息交じりに微笑まれた。
キス・・
テレビドラマの世界だけかと思っていたけど
それが一気に現実味を帯びてきた。
『おれとつきあってくんない?』
浩斗からコクられた時のことを思い出してしまった。
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