第1102話 賞金駆除対象体

 ──テレッテー!


 え? なんだ? なんか前に聞いたな?


 ──賞金駆除対象クラスAのバンダーが駆除されました。


 ダメ女神の声ではあるが、なんか音声ガイダンスみたいだ。なんなんだ?


 ──バンダー駆除により経験値六万が入りました。レベル8にアップします。


 全面になんか数字が現れた。はぁ?


 なにがなんだかわからずいると、体が熱くなり、立っていられなくなった。


 痛みとかではない。なんかどこから力が溢れ出してくる感じだ。なにが起こってんだよ?!


 熱は五秒くらい続き、今のがウソのように熱が消えてしまった。


 ──申し訳ありません。前駆除員に与えたレベルアップシステムがまだ残っていたようです。


 茫然としていたらリミット様の声が頭の中に発せられた。


 ど、どういうことでしょうか?


 ──今から六百年前くらいの駆除員たちに与えられた能力です。レベルアップではゴブリンは駆除できないと判断され廃止されましたが、一部システムが残っていたようです。


 そう言えば、ダメ女神が駆除員によっていろんな能力を与えたようなことを言ってたな。レベルアップもその一つだったわけか……。

 

 ──今、すべてのシステムを消去しました。ただ、孝人さんがレベルアップしてしまったことはその世界に干渉することになるので残ることになります。


 レベル8ってどのくらいのものなんでしょうか?


 ──孝人さんは基礎値が高いので上位の銀印冒険者くらいにはなったとは思います。魔力は軽く三倍上昇しています。オーグ一匹くらいなら倒せるとは思いますよ。ちなみにバンダーはレベル20に相当しますね。


 レベル20!? てか、誰が倒したんだよ?! メビか? 雷牙か?


 ──孝人さんが拾った姉弟です。駆除員としかシステムリンクしてないのでレベルアップすることはありません。孝人さんのほうから報いてやってください。


 あと、なんでしたっけ? 賞金なんとかって、どういうことなんでしょうか? それが一番訊きたいことなんですが!


 ──賞金駆除対象体です。現在、その世界には十五、いえ、十四匹の賞金駆除対象がおります。その世界の理から外れたゴブリンなので倒しても報酬が入ることはありません。


 なぜ魔王軍といたのでしょうか?


 ──賞金駆除対象体も生きねばなりません。魔王軍に味方する個体もいます。今のところ五体が味方しているようです。まあ、その大陸にはバンダーだけです。他は某さんがいる大陸にいます。


 マリルとマルゼに倒せるなら山崎さんの敵ではなかろう。でも一応この情報は伝えておこう。


 ──もうレベルアップすることはありませんし、賞金駆除対象体は駆除対象外。無理に倒す必要はありません。それは孝人さんにお任せします。では、幸運を祈っております。


「……はぁ~。まったく次々と問題が出てきやがるぜ……」


 ──────────────────────────


 その昔、孝人のようになれたかもしれない者がいたとかいないとか……。

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