第1099話 *マニルス*
なんなんだ、この連中は? 今きたのもまだ子供じゃないか?!
この世界にはたくさんの種族がいることは知っている。我が国にもドワーフはいるからな。だが、場を仕切る少女は獣人。二人の姉弟は人間。そして、白い毛を生やした聞いたこともない獣人だ。
我が国では他種族は忌むべき存在だが、相手が高度な組織だということはわかる。
見たこともない武器、怪我や病気を治せる薬、どこから出してくるかわからない大量の食料。話の流れから我々のことは突発な出来事だろうに、まるで最初から取り決めていたかのような動きをする。
タカトという者がこの子供たちの頭だろう。その者の指示なのか? だとしたらかなり優秀な者だろう。
「マニルスさん。体はよくなった?」
メビと呼ばれていた獣人の少女の声に我に戻った。
「あ、ああ。かなりよくなった」
ついさっきまで瀕死だったのに、今は剣を握れるくらい回復している。神薬と言ったが、まさにそうとしか言いようがないものであった。
「そっか。出ていった三人が暴れ出さしたら外に向かうね。そう皆に伝えておいて」
「外は大丈夫なのか?」
「大丈夫でしょう。セフティーブレットの最高戦力がここに集まっているからね。魔王軍の将軍が相手でも負けないよ。ここに現れてくれるならあたしが倒してやるのにな〜。残念だよ」
こんな少女が? いや、他の三人の口振りからしてこの少女が一番強いのだろう。それでも信じがたいことではあるがな……。
「まあ、信じられないのも仕方がないよ」
顔に出たのだろう。少女が苦笑いをした。
「いや、すまない。助けてくれた者に無礼をしてしまった」
「ううん、いいよ。この国じゃ人間以外は獣以下と見下しているからね」
「タカトという者は違うようだな」
「ふふ。タカトが好きそうな人だ。会ったら気に入られるよ。もしかして、王族だったりする?」
思わず目を見開いてしまった。
「あ、本当に王族だったの? 冗談で言ったのに。タカトはやっぱり運がいいよね」
「王族がいるから助けにきたわけではないのか?」
真意を尋ねるためにわざと口にした。
「知らなかったよ。あたしたちはゴブリンを駆除はしるのが仕事だからね。マニルスさんたちを助けたのはタカトの助けになるからと思ったからだよ」
「我らを助けることがか?」
「マガルスク王国は瀕死の状態。ランティアックとミルズガン、マリットル要塞が残っているだけ。タカトはランティアックを次の王にようと思っているけど、王族がいたらもっと楽になるのに、って言ってた。だから、この中に王族に匹敵する者がいたらな〜って思って助けた。タカトって、そういう運がずば抜けて高いからね」
「…………」
次の言葉が出てこなかった。
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