第1089話 *ラダリオン*
「──ラダリオン! 巨人の軍団が現れた! 殺さないていどに痛めつけろ!」
「わかった」
走りながらホームに入り、AAー12を棚に置き、暴れ回るのに邪魔な装備を外してバールをつかんで外に出た。
巨人の軍団か。もっと凶悪なものが出てくると思ったのにちょっとがっかり。巨人だと殺しかねないな~。あ、バールじゃなくラットスタットのほうがよかったかな?
少し走ると、煙が上がっているのが見えた。もうちょいだ。
カルダンとマルスクは近くにいたようで、もう戦いに突入していた。
「タカトからの命令! 殺さないていどに痛めつけろ! 死んでないのなら構わない!」
こちらには回復薬大がある。足の一本なくしたところで余裕で回復できる。でも、殺してしまっては生き返せれない。そこを注意して制圧する。
「ナメるな!」
相手の男が怒り出した。
体格はいいが、タダオンたちより筋肉はついていない。きっと碌なものを食べてないんだろう。可哀想に。
でも、今は敵。容赦は……しなくちゃダメか。面倒だな、もう!
「ナメているのはそちらだ! マーダの戦士たちが誰の槍になったか教えてやる! カルダン! マルスク! 決して折れぬ槍の強さを教えてやれ!」
「おう! マルスク、槍姫に遅れをとるなよ!」
「お前こそ槍姫の足手まといになるなよな!」
二人に場を譲ってやる。
ベネリM4を放り投げた二人はマチェットを鞘から抜いて敵に向かっていった。
元から強かった二人は襲いくる同種族の攻撃を紙一重で交わし、手加減して斬りつけていた。
やっぱり殺さないとなると打撃系の武器がいっか。マチェットもそこまで強度があるものではないし。
ホームに入り、バールをもう一本つかんで外に出た。
まずはマルスクに近づき、背後から襲いかかろうとする──女に飛び蹴りを食らわした。
「マルスク、これを」
背中を見せるマルスクにバールを投げると、こちらを見ずにつかんだ。完全に戦闘モードに入っているな。
次にカルダンに近づき、やはり背後から襲いかかろうとする女の脇腹にバールを振ってやった。肋が何本か折れた。そのまま寝込んでな。
「おいおい、槍姫。殺したらダメなんだろう?」
「手加減はした。もし、それで死ぬようなら死んでも構わない」
「アハハ! 槍姫はおっかねーな! だが、まったくもってそのとおり! 手加減して死ぬような戦士に生きる価値はない!」
「そうだ! 我らは槍! 決して折れぬ槍を持つ女神の戦士! 死にたくないのなら必死になれ! 死にたくないのなら降伏しろ!」
なんて叫びながら二人は敵に容赦はしない。ちょっと不味いこと言ったかな?
まあ、死んだら死んだで弱かったのが悪い。そのときはタカトに誠心誠意謝ろう。
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