第1087話 *メビ*

 集まるゴブリンを撃ちながら腰にかけていたプランデットをかけた。


「報告。転移魔法陣があると思われるところに到着。でも、そこに防衛用と思われる城があった。二人には転移魔法陣を破壊するように言って、あたしは囮になってゴブリンども引き連れている」


 二人には内緒だけど、小型発信器を打ち込んでタカトと通信できるようにしてある。あたしはタカトみたいに臨機応変に対処できないからね。ちゃんと映像と状況を説明しているのよ。ちゃんと映っているかはわかんないけど。


「ゴブリンの数は?」


「ほどよい感じ。空間もあるから視界が塞がれることはないよ」


「ゴブリン以外は見えるか?」


「今のところ見てない。いつも見るような雑魚ばかりだね」


 その雑魚が城を造ったとは思えない。もっと人に近いヤツかなんらかの種族がいるはずだ。


「そうか。映像を見る限り城はかなり精巧だな。この一月で造ったとは思えない。もしかすると魔王軍の秘密基地のかもしれん。コラウスに現れた将軍もここからきたのかもしれんな」


 ミサロはグリフォンで大陸を越えたそうだから知らなかったかもね。


「もうしばらく様子を見てみるよ」


「了解。気をつけてな」


 通信は切り、ゴブリンをこちらに引き寄せた。


「お、さすがに弾切れか」


 レッグポーチもそこまで容量があるわけじゃない。9㎜弾でも三千発くらいは入れてたのにもう弾切れだよ。


 タカトから貸してもらったアポートウォッチでミニミを取り寄せた。


 あたしはどうもEARが好きじゃないんだよね。まあ、必要なら使うけど、今はそれほど追い込まれているわけじゃない。タカトも好きにしていいと言っている。


 それに、ミニミもそろそろ買い換え時期。持ち帰れないなら捨てても構わないとも言われている。


「これだよ、これ。この反動がいいんだよね!」


 この重さもしっくりくる。銃はやっぱりこうでないと!


 二百発があっと言う間になくなるのは困ったものだけど、一掃すればコンテナマガジンを余裕で交換できる。ハイ、終わりっと。


「さあ、どんどん集まってきな!」


 てか、あたしが稼いじゃってない? 二人のお守りとしてついてきたのにさ。


「ま、いっか」


 ゴブリンを駆除するのが二人の負担をなくすこと。これもお守り一つだ。


「六百発が限界か」


 バレルから煙が吹き出した。これは廃棄させてもらいます。


 さすがのゴブリンも押し寄せなくなったので、今のうちに416装備に換えた。


「さて。暴れるとしますか」


 今までのはなんだったんだい! とか突っ込まれそうだが、あたしの戦闘スタイルは機動力を活かした各個撃破。そして、狙撃だ。今日はいい実戦になりそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る