第1084話 最後の晩餐

「……ラダリオンたち、凄すぎる……」


 雷牙が下で起こっている殲滅に驚いていた。


 オレからみたら雷牙も凄いヤツ分類だが、ラダリオンたち巨人は別格。いや、逸脱か? 陸戦型ガン○ムにも勝てそうな雰囲気である。


「残り一体。ラダリオンが倒しそうだよ」


 まあ、巨人より弱いのが十体いるだけ。ただ、広範囲に配置されているので倒すまでに時間がかかるだけだ。


「ゴブリンはどうだ?」


 オレはルースミルガン改を操縦しながらとプランデット連結型のドローンを飛ばしているので他に目を向けられないんだよ。


「たくさん熱反応があるよ。よく逃げなかったね」


「命令するヤツがいるんだろうな」


 一国を攻めるのだ、将軍一匹ってわけにもいかない。計画は練るだろうし、各部隊を仕切る配下も連れてくるだろう。考えもなしに一国を攻めるバカがいるなら逆に見てみたいものだわ。


「殺る?」


「いや、タダオンたちに任せよう。巨人を稼がせてやろうと思ったら群れを集めてやるしかないからな」


 乗り物の中にいて上空二百メートルのとこらにいるとうっすらとしか気配を感じないが、それでも二万匹近いゴブリンの気配を感じ取れた。


「ミジャーの粉でも撒いておくか」


 逃げないってことは統率が取れているってこと。わざわざ統率を取れた状態にするのも癪だし、広範囲に散らばっているのも面倒だ。一ヶ所に集めておくとしよう。


「ホームに入るぞ」


「了解」


 ルースミルガン改をホバリングさせ、カウントダウンさせながらホームに入った。合わせて入らないと雷牙を上空に放り出してしまうことになるからな。


「てか、ミジャーの粉、まだあったっけ?」


 最後にミリエルが持ち出した記憶はある。雷牙も呼び寄せたから補充してないから在庫管理してなかったわ。


「大丈夫。あるよ」


 雷牙がそう言い、倉庫からミジャーの粉が入ったコンテナボックスを台車に載せてきた。


「落ち着いたら倉庫を確認しないとな」


 広げすぎた弊害だ。ホーム、十人くらい入れるようにして欲しいものだ。


「あ、タカトさん。そちらはどうですか? こちらはミルズガンに連絡してきました」


 ルースミルガン改にコンテナボックスを積んでいたらミリエルが入ってきた。


「一時間前くらいに作戦開始してバデッドゴーレムを倒したところだ。メビたちはまだ洞窟には突入しない感じだな」


「順調なようですね。それ、ミジャーの粉ですか?」


「ああ。広範囲に散らばっているから集めようかと思ってな。そちらでも使うか?」


「今のところ大丈夫です。もっと必要ならシエイラに指示書を出してガーゲーから運んでもらいましょうか?」


「そうしてくれ。結構重宝するものだからな」


 狂乱化も使い慣れてきたら便利なものだ。こちらが誘導したい場所に集められるからな。


「はい、わかりました」


「よし。いくぞ、雷牙」


 あまりゆっくりしているとドローンが落ちてしまう。ガーゲーで改造してもらい、魔力を供給する機能をつけてもらった。供給源たるルースミルガン改がいなくなったら数十分しか飛べないのだ。


 ルースミルガン改に乗り込み、すぐにドローンと接続する。


「お、メビたちが洞窟に入ったようだ。雷牙、映像を見てくれ」


 雷牙がかけているプランデットを操作して切り替えてやった。


「結構いるね。洞窟も広げられているみたい。木で補強されているよ」


「やはり知能を持つヤツがいたか」


 知能を持っていてもゴブリンを使うのは大変だろうよ。よくやっていると感心するよ。


「──マスター。到着しました」


 時間とおりにマンダリン隊がやってきた。


「ナイスタイミング。山にいるゴブリンはマンダリン隊に任せる。山を崩さないようにやってくれ」


 山にも二、三千匹はいる。一千万円くらいは稼げるだろうよ。


「了解しました」


 左右をマンダリン隊が飛び抜いていき、少し進むと散会した。どうやら個人戦にするようだ。


「タカト、ミジャーの粉はどうする?」


「前方の山にでも撒くとしよう」


 転移魔法陣がある山から二キロくらい離れている。洞窟内のゴブリンが集まることはないだろう。


 山の頂上にルースミルガン改を降ろした。


「よし。四箱ほどばら撒くとしよう。雷牙は広範囲に撒いてくれ」


 さすがにオレの脚では無理なので雷牙にお願いする。


 オレは頂上付近にミジャーの粉を撒き、処理肉も混ぜてやった。最近肉食ってないだろう? 最後の晩餐だ。腹を膨れさせてダメ女神の枕元に立ってくださいな。


「ん? 近くにいるのが動いたか」


 気配がかなり荒れている。やはり満足に食べられていないようだ。


「タカト、撒いたよ!」


「ご苦労さん。撤退しようか」


 ルースミルガン改に乗り込み、四十メートルほど上昇したらゴブリンが現れた。


「一気に片付けたいね」


 十分もしないで頂上はゴブリンで溢れてしまった。


「そうだな」


 マルダードを一つ落としただけで三百万円は稼げそうだが、タダオンたちを稼がせてやらんとならん。上前で満足しておこう。


「タカト、ラダリオンたちがきたよ」


「もうか。巻き込まれる前に去るとしようか」

 

 陸戦型が暴れたら地形が変わりそうだしな。マルダードも一人一個ずつ持たせてある。巨大化したらどれだけの威力がわかったもんじゃない。安全圏に逃げるとしましょうかね。

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