第1079話 前夜
ミーティングを終えたら外に出た。
「ラダリオン。タダオンたちを呼んできてくれ」
続いて出てきたラダリオンにお願いした。タダオンたちはちょっと離れた場所にいるんでな。
皆が集まったら作戦を話した。と言ってもそう難しいものではない。敵は排除。ゴブリンは駆除。転移魔法陣を破壊する。それだけだ。
「ラダリオンたちはバデットゴーレムを排除したら周辺のゴブリンを駆除して、万が一に備えててくれ」
バデットゴーレムだけとは思えない。なんか隠し球があるはず。巨大なものだったらラダリオンたちにお任せだ。
「マリルとマルゼ、メビは転移魔法陣の破壊だ。マイセンズのような洞窟だったら十二分に注意すること。暗闇に惑わされるなよ」
「任せて。必ず成功させるから」
「マリル。そう力んでいたら成功するのも成功しないぞ。お前たちなら成功させるだけの能力は持っているんだから力を抜け。強敵だと笑いながら挑むほうがお前らしいよ」
笑って二人の頭をわしわししてやった。
オレとは精神力が違う。落ち着いて動けば失敗することもないだろうさ。
「タカトは甘やかしすぎ。一度、痛い目を見たほうが人は成長するもんだよ」
「お前は失敗したことないだろう」
それは失敗したことがあるヤツのセリフだ。
「当然。あたしはタカトの敵をすべて倒すためにいる。失敗は絶対に許されない。でも、他のヤツの失敗にどうこういうつもりはないよ。あたしがあたしに課した誓いだから」
うーん。これはラダリオンに感化されたな。ラダリオンみたいに覚悟ガンギマリは真似して真似できるもんじゃない。下手したら死んでしまうぞ。
「まったく。お前も力みすぎだ。お前のよさはどんなときも沈着冷静なところだってのに。いつものように「了ー解」って返してくれ。それだけでオレは安心してメビに託せるんだからな」
メビが狙ったものは確実に当てている。沈着冷静で平常心がそれを可能にしている。それがメビのよさだ。
「了ー解」
照れたように笑うメビの頭を撫でた。
「さあ、明日のために今日は早めに休め。ラダリオン。出発時間は任せる。アリサ、夜明けとともに出発だ。メビ、マリル、マルゼ、頼むぞ」
「了ー解」
「任せて」
「必ず成功させるよ」
その頼もしさにうんと頷いた。
「雷牙。オレたちは先行して上空から見張るぞ」
暗いうちに転移魔法陣がある山の上空に移動してホームに入る。相手はレーダーとか持ってないのだ。見つかる前に最適な位置を取らしてもらいます。
「了解」
「タダオン。お前たちの働きは見させてもらう。死なずに勝利しろよ」
「女神様が見ているのだ、恥ずかしい戦いはしない」
リミット様のことを話したらなぜか信仰の対象となってしまった。まあ、ダメ女神を信仰するより遥かにマシなんで勝手にさせているがな。
「じゃあ、帰ってきたら祝杯をあげるとしよう」
作戦開始と、その場で別れた。
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