第1078話 *ミリエル*
ミーティングを終え、そのことを伝えに外に出た。
「あら、サイルス様。きていたんですね」
ルースブラックが着陸しており、交代していた職員もきていた。館は大丈夫なのかしら?
「ああ。女神からアナウンスが入ったと聞いてな。急いでやってきた」
シエイラに報告書を出したの昨日なのによく伝わったこと。帰ったらどうなっているか調べないとね。
「ゆっくりでも構いませんでしたのに。タカトさんは、明日には動くそうですが、こちらは状況次第ですね。わたしは明日になったらミルズガンに報告にいってきます」
わたしたちはミルズガンから百キロは離れた廃棄された要塞にいる。王都側にいるので、まずここが狙われるでしょう。迂回される恐れもあるけどね。
こちらとしてはどちらでも構わない。守るか攻めるかの違いでしかないんだからね。
「そうか。おれもいったほうがいいか?」
「いえ、大丈夫ですよ。女神リミットからのアナウンスを伝えにいくだけですから。わたしがいない間の指揮をお願いします。判断はお任せしますので」
「随分と落ち着いているな?」
「これだけの戦力があれば恐れることはありませんからね」
要塞の補強はドワーフたちがやってくれ、魔王軍の将軍がきたところで戦える者がたくさんいる。ただ、これだけの戦力が集まったら進撃ルートをズラされる確率が高い。わたし、なんかそういう運が悪いから……。
「なんなら遊撃隊として動いても構いませんよ。本隊だけで要塞は守れますから」
「お、いいのか?」
嬉しそうな顔をする。この方もなんだかんだと脳筋なところがあるからね。
「はい、構いません。タカトさんからも好きにして構わないと言われていますから」
「タカトのほうに集中するのか?」
「かもしれません。タカトさんはそういう運はありますので」
女神の呪いか駆除員の運かわからないけど、重大な問題に遭遇しやすい。きっと今回もなにか予想外のことが起こるでしょうよ。
「……その割には冷静だな……」
「それはそうですよ。タカトさんのほうは戦力過多ですからね」
ラダリオンがいるだけで十二分なのに巨人が五人にメビとライガがまでいる。これに勝てる敵が想像できないわ。グロゴールが十匹現れても瞬殺する光景が見えるわよ。
「ま、まあ、そうだな。ラダリオンがいる時点でタカトが不利になる未来はないか」
サイルス様もラダリオンが生物の域から逸脱していることを理解している。どんな難攻不落の要塞でも一人で落とせるでしょうよ。
「はい。なのでサイルス様は自由に動いても構いませんよ。ただ、乗り物はこちらで使うのでパイオニアか徒歩の移動になりますが」
ルースミルガン改とマンダリンがあるけど、いざってときの移動用。残しておかないとね。
「じゃあ、徒歩でいくか。職員は何人連れてっていい?」
「そうですね。ルイスさんとロイスさん、事務方を二人残してもらえれれば残りを連れてっても構いませんよ」
主力はドワーフにしている。職員も稼ぎたいだろうからいきたい者は連れてって構わないわ。
「わかった。職員と相談してみる」
「はい。その前にミーティングをしますね。全体状況を説明したいので。メー、ルー。皆を集めて」
こちらはこちらで問題なく進めるとしましょうかね。
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