良い事と悪い事?

ファンガルド侯爵領

最果ての国境領地で領都は最果ての港町と呼ばれてる


その港町はヘブンソルト町

塩の天国?多分違う┅┅


王国随一の塩生産領地で海産物も豊富に取れる

海運と海軍に力を入れ騎士団ならぬ船士団を作り海の魔物や海賊と日夜戦ってる


船の造船技術はこの領地が王国1番で港も漁港と軍港、それに塩専用港もある


塩田は広く大量の塩を作り王国中に送られてる

塩の価格は国が決め管理されてるから勝手に販売は出来ない

岩塩も統一価格だ


海水からの塩はこの領地以外でも作られ海岸線に領地を持つ貴族が強制的に受け持ってる

何ヵ所も備えなければもしもがあるから保険としてらしい


水と塩は無くてはならない物

途絶える事は許されない


「ここからだと良く分かるわね」

「面白い~♪左から領都でしょ?次が軍とか兵隊さんの港ね?

そして右側が塩の港、船も沢山ね?余所の国からも来てるのかな?」

「それが隣の国から来てるようだよ、この山脈の向こう側の国

フローデル王国からね」


「仲良かったっけ?」

「それは知らないけど通商条約は結ばれて交易は盛んだとか」

「へぇ~どんな国かしら?」

「多種族国家でエルフ国とは唯一の交易国で多くのエルフのヒト達が住んでるらしいよ

シャルタン王国とフローデル王国の隣がエルフ国だから」

「┅┅┅死の森と山脈に囲まれたエルフの国かぁ」


「昔帝国と王国が1つの時代はエルフ国とは仲良しだったよね?

でも1部の貴族達がエルフの民を奴隷として狩りエルフ国を脅かした

それが王国と帝国へと別れた原因だと歴史では書かれてるね」


「概ねそうよ、エルフの民は大陸に散らばり生活してたけど王国がエルフ狩りを初め神聖皇国とフローデル王国へ逃げたのよ

当然エルフ国へも多くが逃げ帰ってそれからエルフ国は閉鎖的な国となってしまったの

帝国となってからはエルフばかりか獣人やドアーフも狩る様になって住んでた彼等は逃げたけど多くが捕らえられ奴隷となってしまって┅┅残念な話よ」


別れて統治者となった最初の王は多種族国家を容認するしかなかったようだ

新しい国はエルフ狩りをした貴族達で作った国だったから他国からの猛反発を受け国として認められず悔しい思いをしたようだ

だからなのかは分からないけど侵略戦争と言う形で国を形作った


初代王亡き後は帝国主義国家としてヒト族至上を掲げ侵略戦争を増やし他国を攻め領土拡大に邁進した結果生まれた強大国家が今の

【アローン帝国】


しかし、魔王復活や魔族との戦争なんて侵略戦争で疲弊してる現状ではとても難しいと判断して勇者召還の儀式を王国へ譲ったんだ


勇者召還は神聖皇国での6か国協議で決まった結果を皇国大聖女が天上へ祈りを送り神の許しを得た結果シャルタン王国の勇者7名の召還が実行される事になったんだけどねぇ~?┅┅7名ねぇ


正式な手続きで行われた勇者召還だったが結果中身がポンコツばかりを引いたと言う事で今の滅茶苦茶な結果となってしまった┅┅┅┅┅はぁぁ~


人格重視しろよ!




「う~ん!潮の香りが鼻を突くわね」

「宿は料理重視よ!魚料理と郷土料理!」

「市場で多くの海産物を買って帰ろう!」


町の入り口で冒険者カードを見せて入場!

早速宿を探す、門番さん達は結構無愛想?で何も喋らなかった

港町で観光とかしないからなのか?機嫌が悪かったねぇ?


【ウミドリ亭】ここが高級宿らしい、構えも立派だ


「いらっしゃい!」

「宿泊お願いします」

「ハイ!3名様ですね?カウンターへどうぞ、馬車は?┅係が┅┅」

「ああ!大丈夫ですよハハ、アレは人形ですから┅アハハ」

「はぁ?人形?┅┅馬屋は裏です」


ドン引きでゴーレムさんを見られた?そっかだから門番さん達も?┅┅


«狭いけど我慢してね?»

««ハイ♪食事ありがとう♪»»


スレイプニール達に飼い葉と水を与え宿の中へ


「最上の部屋をお願いしますね♪」

「1泊金貨30枚ですが┅┅」

「30枚ね♪取り敢えずこれで┅延長する時はその時で頼みます」

「ハイ!ありがとうございます!部屋へ案内致します!」


見た目冒険者の格好だから変な目で見られてたようだな

昼食は町へ出て食べるとしましょうかね


「あっ!市場は閉まってますからねぇ!お昼までなんです

海に面した通りに沢山のお店がありますのでそちらへ行けば面白いですよ」

「ありがとうございます!行ってみますね」


言われた通り宿を出て海が見える方へ歩くと通りに出た

町のメイン通りと平行してる海岸通りのようだ


今の時期は暑い季節で無いから海水浴客はいなくて砂浜には誰もいない

通りもヒトが少ないねぇ~


「お腹空いたぁ~あのお店はどう?」

「魚料理が食べたいわね」

「明日の朝早く市場へ行こうよ、楽しみだな♪」


リアナが選んだお店は普通の食堂みたいな感じで地元のヒトが食べていた


「いらっしゃい!3人さんだね?

適当に座って、注文が決まったら読んでね」

「ハイ♪どれどれ?なにを食べようかしら┅┅」

「結構品数があるわね┅┅」


まぁ普通の食堂だからこんな感じだよね?

でも?肉料理?うん┅食堂だし┅

客も普通にステーキ食べてるし?

なんで?


「生の魚って美味しいの?」

「えっ!刺身があるの?」

「これがそうよ、盛り合わせ♪」

「う~ん┅なんか凄いな┅┅」

「私はこれ!お魚定食!数が多いみたいな?」


でもなぁ┅┅パンとかは┅


「お客さん!今日の海鮮丼は終わったからね!刺身は大丈夫よ!」


えっ!えっぇぇぇええ!丼!

じゃあ┅┅ご飯が?米がぁ!

よし!試しだこの焼き魚定食を頼んで見るか┅┅┅ご飯だよな?


「ハイハイ!お刺身定食と魚定食に焼き魚定食っと┅

飲み物とかはどうします?」

「私はエールね♪」

「果実ジュースで」

「水で┅┅」


刺身には醤油だけどあるのか?


「あの?刺身とか生の魚を食べるの普通なんですか?」

「それね?┅生魚を食べるのはお隣のヒト達が持ち込んだ料理なの、この国ではこの領地でもこの町くらいよ

それに丼ってのはあのライシを使ってるから他では食べないわよ」


「ライシ?」

「餌よ、馬のエサ!他はコカ鳥とかね、雑草みたいな物よ

それを食べるヒトはいないわ」

「ええ、驚いたわ、まさかライシを食べるなんて┅」

「┅┅┅あったんだ┅米が┅」


くぅ!米があるなんて!全然探さなかったけどこんな形で見つかるなんて!それも普通にある!


「2人共?このライシってのはオーストンにもあるの?」

「ええ、市場でも商店でも置いてるわよ」

「馬の厩舎とかは商会から定期的に仕入れてるようよ」

「よし!ウフフ┅アハハ!」

「変なライト?」


運ばれてきた各定食は懐かしい物だった┅┅┅まんまだ!


刺身定食はスープと刺身の盛り合わせ┅┅そして白いご飯!

漬物まで!すげぇ!

魚定食は焼き魚に刺身が少しとスープにご飯┅┅

焼き魚定食はドン!と大きな魚の塩焼きにスープとご飯┅┅


隣の国?フローデル王国ってなんなんだ?


「この料理は東大陸の【アズマ国】の料理らしくってね?

フローデル王国の船が遭難して流れついたのがアズマ国

そこで世話になって帰って来た時にそのアズマ国の何人かが一緒に来たんだって

それから広まったようよ

ウチも真似したら好評で♪エヘヘ~他の店も何件か真似してるわよ♪」

「そうだったンデスネ┅┅でもライシを食べるなんて抵抗したのでは?」

「アハハ♪そうよ!餌を食べさすのか!ってね♪

でも領主様が美味しいって食べて一気に認められたの

貧しいヒト達は喜んだわよ♪

このライシ安くてねぇ♪それに腹持ちが良いから子供には良いのよ」


領主って侯爵だったな┅┅

貴族自ら食べたのか┅なんか良い貴族だな┅

でも関わるのは嫌だ、例え良い貴族でも面倒で厄介なのは変わり無い┅┅ホント貴族ってのは┅



いやぁ~この町に来て良かった

米の発見と魚醤の発見!

醤油は無かったが凄い前進だな

これで我が食卓にご飯が並ぶ!

ククク♪アッハッハハ!

カレーライスや焼き飯!丼物!

醤油と味噌は自分で作るしかないか┅┅しかし!酒はこれで作れる


日本酒┅┅ついでに焼酎とか作るか┅┅ガンプ爺喜ぶだろうな┅


予定通り翌朝朝早く起きて朝市へと出向きひたすら買い込んだ!

いわゆる大人買い!


「おばちゃん!ここの全部!全部頂戴!」

「おじさん!その貝!全部!

そのエビも!全部!」


ってな調子でほぼ買い占め状態!

魚に始まり貝にエビにタコにイカ

海藻は飾りとか?

ワカメらしき物や昆布とかも全部!

俺の後には何も無い状況┅


リアナとビアンカも呆れてた

でもまぁ市場のヒト達は喜んでたし┅┅料理屋とか宿は契約した漁師が直接卸すから安心だよ


やはりタコは一般的には食べないらしい、まぁ食べ方を知らないってさ┅┅┅残念!


イカも同じでクラーケンの子供じゃないか?とかで捨てずに置いてるらしい┅┅勿体ない!


刺身にイカ焼きにイカ飯とかバター焼きとか美味しいぞ!


この国なのか大陸なのか?兎に角料理の質とか扱いが低い!低すぎる!焼く煮るだけの料理┅┅

それも塩だけって┅マジ塩対応!


オーストンでは今は普通に調味料やダシでの味付けだが┅┅

食堂には煮付けは無かった┅┅


宿を出て塩製作見学して帰ろうと塩田へと向かい一悶着!


「見学?なんだそれは!塩製作は極秘事項!そんな事も知らんのか!」


ヘイヘイそんな事だと思ったよ

ならば!丘へ上がり上から見るか┅┅

アハハ┅┅そうですよねぇ~


丘は立ち入り禁止で登れない

でも隠さなくても?


「塩を海水から作るの簡単なんだよなぁ、棚田にして海水濃度を順に濃くすれば良いだけの事

なんで見たら駄目なんだろう?」

「多分盗みとかじゃ無いの?」

「塩は必ず売れる品よ?夜こっそり盗んだら可能じゃ無いの?」


後で知ったが安全の為だとか┅

食品だから不審者が毒とか混ぜるとその時の塩は全部廃棄するとかで過去に何度かあったらしい


だから立ち入り禁止になったんだと、傍迷惑な輩もいたものだ


一先ず最大目的の海産物ゲット!は果たした!

それになんと言っても米と魚醤が大きい!

早く帰って米否!ライシを確保するのだ!

そして米を主食!まぁ難しいがパンと同等の地位にする為に暗躍するのだ!フフフ┅アッハッハハ!


皆の意見も聞かずサッサと転移して帰って来た┅┅

戻ったら滅茶苦茶文句言われたんだが?┅┅┅すんません┅


「もう!釣りとか海遊びしたかったのに!それに海水浴も!

せっかく水着持って行ったのになによ!」

「ライトが悪いわ!なんの相談もしないで転移しちゃうんだもん

少しは嫁達の考えを尊重して欲しいわよ?」

「う~ごめんなさい┅」

「なんで慌てて帰って来たの?」

「そうよ!なんで?どうして?」



これは米の為とか言ったら殺されるかも┅┅┅どうする!


「あっ!ライト様!良かった!戻られてたんですね?

実は問題が起きました!」


ナイス!ミハエル!助かった!


「問題?それはあれかね?あれだね?そうかそうか!

では執務室で協議しよう!さあ!さあ!」

「ええ!┅┅ライト様?」

「な~んだそうだったの?問題の為だったのね┅┅仕方ないわね」

「┅┅┅なんか怪しい?」


流石ビアンカ師匠!鋭い!ここは早く逃げねば!


┅┅┅はぁ~良かった♪


「ライト様!解決策を考えて戻られたんですね┅┅しかし

事はかなり複雑になってます」

「複雑な?」

「ええ、現在我が領地はシャルタン王国とはなんの関係も無い未確認国です

一応はシャルタンへはオーストン国として届けてますが他国は知りません

ライト様がお留守の間にエルフ国とフローデル王国からの使者が来まして┅┅」


うっ!そんな事が┅┅


「エルフ国は領主ライト様の訪問を要請されました

フローデル王国はあちらからの訪問を許可してくれと」

「そんなの別に問題無いじゃないか」

「それがシャルタン王国はエルフ国とは断絶してまして

もしエルフ国と仲良くしてオーストンを国として認めるとなればシャルタン王国としてはオーストンとは断絶して出入り禁止にするとヤダルダ伯爵を通して言って来たのです」


これは帝国絡みか?エルフ国と帝国は敵対国として歪みあってる

今は魔王や魔族との戦争中┅

もし帝国が負けると次はシャルタンだ、そうなれば┅

でもエルフ国は関係無い筈だが?


「シャルタン王国はエルフ国に対して敵対すると言うのか?」

「いいえ、今は断絶してますがそれは遠く交易も無い状態ですよ?

対外的に断絶としてるだけです

そもそもエルフ国は鎖国状態でフローデル王国だけと交易してますが国交は樹立してません

恐らく帝国に対してのアピールでしょう

王国とエルフ国が組めば帝国に取って脅威な国と思われますからね

それにフローデル王国とは友好国で王族間での婚姻関係を結んでます

シャルタン王国にエルフ国とフローデル王国この3国が纏まれば帝国は良い顔はしません」


なる程┅┅それで未確認だがこのオーストンでのエルフ国の動きは承認出来ないと┅

でもオーストンはシャルタンとは無関係だ、好きにさせて貰う!


エルフ国とは良い関係でありたいしリアナや母さんの事があるからね┅┅それに


「ミハエル!エルフ国とは仲良くしたい、返事は訪問すると送って欲しい

フローデル王国からは訪問を許可する、国賓として歓迎しよう」

「そうですか、そう言うと思ってましたが┅ヤダルダ伯爵へは?」

「そうだな┅オーストン国はエルフ国との国交と交易を結び友好国とすると伝えて欲しい

シャルタン王国が断絶して何かするので有ればその時はこちらからも敵対国として断絶すると通達だ!

そしてフローデル王国との友好を進めるとね?フフフ」


「シャルタン王国次第でフローデル王国とエルフ国とでオーストン国は独自にお付き合いしてシャルタン王国とは国交断絶

オーストン製品は流通を止めるのですね?それは面白い!」


まぁ困るだろうな、生活必需品は全てオーストン製品

生活に必要な魔道具もだ

それが無くなる、勝手に真似て作ってる品は粗悪品で誰も買わない程だしね┅┅┅魔道具の修理とかも

貴族達も不満をあげるだろう

便利な品に慣れた者は不便になる事を嫌う


あの城壁を建てた時からこのオーストン町は独立したんだ

そして更に領地が広くなって完全な国として運営して来た

それに気付かないシャルタン王国が愚かと言うだけだ


面白いのはヤダルダ伯爵だ、王宮への返事は知らないのだが直ぐにミハエルへ何か有れば王国よりオーストン国を選ぶと秘密裏に伝えて来た

このシャルタン王国が危ういと感じてるのだろう┅


さて?どうしたものか┅あっ!


アカネ達!今頃どうしてるんだか?はぁ~




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