2.
「大河。何を観ているんだ」
テレビの前のソファに座っていた大河の前でしゃがんでいた御月堂が声を掛けていた。
テレビに集中していたのか、大河は急に来た御月堂にひどく驚き、肩を上げたまま凝視しているようだった。
「御月堂さま、いらしていたんですか」
大河の隣で肘掛けに寄りかかっていた小口が言う。
「大河さまは『ハニワのだいこうしん!』を観ていたんですよ」
「ハニワの⋯⋯だいこうしん⋯⋯?」
「タイトル通りのアニメですよ。観てみれば分かるかと」
「アニメ⋯⋯一枚ずつ描いたものを動かしているように見せる技法だと聞いた。私はそういったものを観たことがないが、楽しめるものなのか」
「ええ、楽しめますとも」
「小口の言うことは信用ならないが、大河、私も一緒に観てもいいか」
二人の事の成り行きを見ていた大河にそう尋ねると、少しの間の後、おずおずと頷いた。
「ありがとう」と僅かに笑っているような顔を見せた後、不意にこちらを向いた。
どきり、と胸が高鳴る。
「愛賀。お前も一緒に観るか」
「あ⋯⋯はい。私でよろしければ」
自分のことに気づいていたのかと驚き、されど誘われたことが嬉しく、大河の隣に座った御月堂の隣に少し間を空けて座った。
大河が観ている『ハニワのだいこうしん!』というアニメは、色んな国が舞台で毎回違う国で急に現れたハニワの大群が建物をなぎ倒して、古墳を目指しているというものらしい。
今回はエジプトのようで、スフィンクスやピラミッドの被り物を被ったハニワ達がお約束の、しかも今回は親の仇とでもいうような無い足でピラミッドを粉々にして、ゴールである古墳へと向かった。
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