3.
「今日のハニワ達は、ピラミッドをしつこいぐらいに踏んづけてましたね、大河さま」
小口側に身を寄せていた大河にそう話しかけると、小さく頷いていた。
「それで御月堂さま。人生初めて観たアニメの感想はどうですか」
「そうだな⋯⋯」
じっくりと考えた後、こう言った。
「自分達が壊したものを後で直すのならば、そもそもそのような行為をしなければいいと理解し難いところはあるが、ハニワに刃向かっていたのは死者であって、古墳に辿り着いた時、その者達の魂をあの世に送っているようだが⋯⋯。これが子ども向け番組なのか?」
「まぁ、しかも教育番組でやっているので」
「教育⋯⋯破壊行為や目から妙なものを放っていたり、ハニワそのものが災いをもたらしているように思えるが、何を教わるというのだ」
「ハニワの種類によっちゃ、悪霊や災いから守る役割があるって言われているので、その国の災いと御月堂さまが述べていたように死者の魂を持っていく部分は着色ですが、あのアニメでのハニワはそういう大事な役割をしているですよ。つまりあれですよ、表面だけを見て批判するのではなく、全体を見てから意見を言え、みたいな」
「⋯⋯なるほど⋯⋯思っていたより、アニメというのは奥が深い⋯⋯」
神妙な顔つきでいる御月堂に「ちなみに御月堂さまは大多数の意見で表面しか見えてない人ですね」と余計な一言を付け加えていた。
ちなみに姫宮も表面しか理解ができていないため、御月堂と同じ感想であった。
「小口が聞き捨てならないことを言っているが、大河はどうなんだ」
「大河さまはそりゃあハニワの大事な役割を理解してますよ。ハニワのファンですし」
「ね、大河さま」と小口が言うと、大河はさっきより深く頷いた。
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