愛したい人達と仲良くするには

兎森うさ子

1.


時間が出来たという御月堂がやってきた。


最後に会ったのはいつだったかと思うほど久しぶりに見たスーツ姿の愛したい人に、多忙の日々を送っているのならば、ここに来るよりも休んだ方がいいのではと思ってしまう一方、久しぶりに会えて嬉しいとも思っていた。


「久しぶりだな」

「はい。そうですね」

「⋯⋯」


御月堂から話しかけてくるとは思わなく、驚きつつも緊張した声音で答えた。

だが、その緊張のせいで続く言葉が見つからず消え失せてしまった。

御月堂もまたそうなのか、はたまた彼の性分もあると思われるが、それ以上何か言ってくる様子はなかった。


ところが、こちらのことを微動だにせずじっと見てくるのだ。

何か言いたいことがあるのだろうか。だとしたら遠慮せず言っても構わないのに。

その視線に耐えきれなくなった姫宮の方から話を切り出した。


「あの、私何かしましたか?」

「いや、そういうわけではない。ただ⋯⋯」

「ただ?」

「⋯⋯⋯大河は何をしている」


ふい、と目を逸らした時、急にそんなことを言われた。


「え、大河? 大河、は⋯⋯小口さんとテレビを観てますが⋯⋯」

「そうか」


一言そう言った後、御月堂は二人がいる所へ行ってしまった。

何だったのだろうと思い、急に離れていったことに寂しく思え、来てまず最初に触れ合えば良かったと今さら後悔し、ひとり肩を落としていた。


けれども、ここでひとりでこうしていても仕方ないと気持ちを切り替え、後ろから姫宮に声を掛けたそうにしている人には気づかず、その後を追った。

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