第13話 村? 既に街ですが!?

 キョマラさんの許可をもらって先ずは村の人たちを広場に集めて貰ったんだ。六十軒ぐらいの家を建てる素材は木を切り倒さなくても既にあるとタマキが言うから、村人の意見を聞いてどんな家にするかを決めようって話になったからね。


「それでは僕たちがこの村に住まわせていただく事になりましたので、皆さんどうかよろしくお願いします」


 六人で一斉に頭を下げると村人たちから拍手が起こった。 


 先ず僕たちが行ったのは村にある三箇所の井戸に揚水ポンプを取り付ける事。色々と話し合って僕たちの世界の物を持ち込むにしても、この世界の技術でも組立てたり修理したり出来る物にしようと決まったんだ。

 揚水ポンプならこの世界の素材と技術で作れるからね。

 村の人たちは揚水ポンプに喜んでくれたよ。

 

 それから家。魔獣の森にあるとても固い木で柱を作り、魔獣素材で断熱材を作り、屋根も魔獣素材を用いて軽いけど水を完全に防ぐ物を用意した。

 お風呂、トイレは勿論だけど設置済みだよ。お風呂は窯焚き式、トイレは川の水を利用して流れるようにして肥溜め行きにした。

 途中で地球の牡蠣のような貝の貝殻を入れたタンクを通るようにしたけど村人には食べ終えて出た貝殻はこのタンクに入れるように伝えた。匂いを抑えてくれるからね。


 それらの加工方法を村で職人のような立場の人たちに教えながら家を建てて行く。僕たちの家は例の小屋にしておいた。村人でも中に入れるのはキョマラさんとホトカゲさんだけに設定したよ。

 村長でもあり、神職でもある二人だけなら村人たちからも不満は出ないからね。

 

 次に取り掛かったのは防壁だ。魔獣の森側には少し高めの五メートルの防壁を、それ以外の場所には三.五メートルの防壁をたてることに。

 聞けばこの先にも住んでいる人がいるらしく、その街とは行き来があるそうだ。年に二度ほどらしいけどね。


 今回はチョメチョメは封印して村の人たちでもちゃんと出来るような方法をとったよ。じゃないと僕たちがもしも居なくなったら何も出来なくなってしまうからね。

 畑も森の入り口付近の腐葉土を混ぜたりする事を教えたよ。教えたのはシーヤだけどね……


 今回、こうした事はシーヤ、ショーキ、タマキが中心になってる。僕とセーナ、ショーコは村人たちのお手伝いだよ。


 そして三ヶ月が過ぎて……


「神子様がたのお陰で村はもはや街と呼んでもいい姿になりましたな。本当に有難うございます」


 感慨深そうにそう言うキョマラさん。この三ヶ月、本当に僕たちは頑張った。勿論だけどチョメチョメも繰り返し、時には禁断のチョメチョメ子作りにもハマってしまい、レベルダウンもあったけれども、六人全員がレベル350を超えた。

 これでもしもクラスメートたちがやって来ても一方的にヤられたりする事にはならないと思う。

 まあ、この先もずっとチョメチョメしていくつもりだからまだまだレベルアップする予定だしね。


 そして、今は神殿を建てているんだ。セクサローネ様の神殿だよ。

 村にあった祠を御神体として奉り、そこに厳かな雰囲気の神殿を村人たちと建てているんだ。


「これで神殿が完成すればホトカゲがセクサローネ様と交信するのも楽になります。以前の神殿とは呼べぬような祠ですと中々つながりにくくてですな。このような立派な神殿であれば神域も拡大されてより良く繋がれるようになります」


 キョマラさんがそう言って安堵している。シーヤも言ってたけどやっぱり神域の広さって大切なんだね。広ければそれだけ神様との交信が楽になるんだって。


「神子様がたも神殿ではセクサローネ様とお話できる筈ですぞ」


 それは助かるなあ。聞きたい事もあるからね。例えば僕とセーナで村人たちにチョメチョメ自家発電をかけても良いのかとかね。

 それと今は異種族間では子供が出来ないそうだけど、好きあって一緒になった人たちだから望むならば子供が産まれた方が嬉しいよね。その辺も聞きたいと思ってるんだ。


 そうこうしながら村を発展させている時に、街からの行商人がやって来たんだ。


「おおい!? キョマラさんや! これはどうした事だ、こんなに様変わりしてるとは!?」


「おう、ロッシュさん。良く来たな。いや、神子様が我が村に来られてな。そのお陰でここまで村らしく生まれ変わったんだよ」


「いやいやいやいや!? 村じゃねえょ! うちの街より立派じゃねぇか!」


 ツッコミが凄い行商人さんだね。


「こんなに立派になっちまったら俺が持ってきた商品なんか用はねぇんじゃねぇか?」


「いーや、種なんかもいつも通り持って来てくれたんだろう? それなら大丈夫だ。今回はほぼ全てを買い取らせて貰うぞ」


 畑も区画整理して広くなったからね。その為には種も欲しいし、野菜なんかもそのまま種に出来るものは植えてしまおうって話になってるんだ。


「そうなのか? それは有難いが…… 買取りと言っても現金は無いだろう?」


 ロッシュさんはそう言うけれども現金はあるんだ。まあ現金と言っても砂金なんだけどね。


 川の中に砂金があったからタマキのアイテムボックスに川底の砂を収納して、砂金以外を戻したんだけど、一メートル四方あたりで凡そ三百グラムの砂金が採れた。

 だからそれを現金替わりに使おうという話になったんだ。

 採取した砂金は全部で二キロあるから、それならロッシュさんの持ってきた物資を全て購入しても一キロ半は余る計算だよ。


 という訳でロッシュさんが持ってきてくれた物資を全て購入させて貰ったんだ。

 で、ロッシュさんはというと……


「オイッ! あの屋根素材は何だ!? オイッ! あそこで使ってる農具は何だ!?」


 とあちこちで声を上げて、結局は僕たちが支払った砂金分の農具や新素材を購入したよ。

 それで良いのか? ロッシュさんがホクホク顔だから良いんだろうけどちょっと心配になるね。


「いやぁ〜、凄い物を買わせて貰った。次に来る時はもっと金を持ってくるから、あの新素材をもっと仕入れさせて欲しい」 


 とても軽い屋根素材だからロッシュさんは売れると思ってるみたいだけど、最初は信じて貰う必要があるからそんなに売れないと思うんだけどな。


 商売人なんだからその辺も計算してるんだろうと信じて、屋根素材を出来るだけ量産する事を伝えたようだよ。

 今は村の人たちが作ってるからね。


「よろしければ神子様たちも街に遊びに来て下さい」


 そう言いながらロッシュさんは自分の街に戻っていったよ。神殿が出来て落ち着いたら遊びに行こうと僕たちは話合い、キョマラさんもその際には一緒に行ってくれる事が決まったんだ。


 そうと決まれば早く神殿を建ててしまおう!


 気合を入れて僕たちは神殿を建てる手伝いをしたんだよ。 


 二週間はかかると思われていた外回りの工事は五日で終わりました。ちょっとだけズルをさせて貰ったんだ。堀を掘ったり、柱を立てたりするのをチョメチョメでやってあげたんだよ。

 支えてなくても倒れないから支え手の人たちは違う仕事が出来るからね。


 そしてそれから一週間で神殿は出来上がったんだ。


 ホトカゲさんと共に中には入ってお祈りする僕たち。すると、御神体である祠からセクサローネ様ご本人いや、ご本柱か? どっちでもいいけど顕現されたんだよ。


「遅〜い!! 私の神殿は一番に建ててくれないとっ!!」


 それが久しぶりに会ったセクサローネ様の第一声だったよ……

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