第12話 村へのテコ入れから!
とりあえず僕たちは考えるのを止めた。考えても分からない事はいくら考えても仕方がないからね。
もしも僕たちが召喚された事によって、何処かに
ただ、それによって召喚に関しては無関係な人たちが傷つくのは可哀想だとは思う。
冷たいと言われるかもしれないけれども僕たちは悪素が何処に降り注ぐのか分からない以上、どうしてあげる事も出来ないのも現実なんだけどね。
「神子様がた、どうかあまりお気になさらぬように。この世界の事は本来であればこの世界の者で対処せねばならぬのですから」
キョマラさんもそう言ってくれたしね。とりあえず僕たちで出来る事をしようという話になったんだ。
「それにしてもどうして当時の勇者はこの森を抜けられなかったんだろうね?」
何気なくタマキがそう呟いたのにキョマラさんが答えてくれた。
「この魔獣の森に住む魔獣は中心部に行くほど強くなっております。レベルが100以上の者がせめて五人はいないと抜けるのは無理でしょう。当時に召喚された勇者は三人だけでしたし、レベルを100以上に上げるのにも時間がかかりますゆえに、諦めたのだと私たちは思っております」
レベルアップってそんなに時間がかかるの? という顔でキョマラさんを見ていたら僕たちの疑問が分かったんだろう。
「通常、私たちでもレベルを100まで上げようと思えば三十年はかかります。例え異世界から来られた勇者といえども半分と考えても十五年、恐らくはそこまでの早さはないと見て十八年〜二十年はかかると思われます」
なんて見解を述べてくれたんだ。僕たち六人とも既にレベル200を超えてるって言ったら何て言われるかな?
「あの〜…… キョマラさん、落ち着いて聞いて下さいね。僕たち六人は既にレベル200を超えてます。それについてはどう思われますか?」
不用意に言うのでは無かったと後々後悔したけれども、この時は知らせておくべきだと思ったんだよね。
キョマラさんは僕の言葉に呼吸を止めたんだよ。
段々と顔が真っ赤になっていくキョマラさんを見てセーナが慌てて、
「
って叫んだぐらいだよ。
「ッアッ!! ブハーッ、ブハーッ!! な、何と仰いましたか、神子様!?」
「えーっと、僕たち六人ともがレベル200を超えてると……」
「
「ブハーッ、ブハーッ!! そ、それは誠にございますか?」
これ以上呼吸困難になって欲しくはないけど、僕は素直に頷いた。
「うん、ホントですよ」
「なっ、なっ、なっ、何と!! 召喚されてまだ一ヶ月も経っておらぬのに、既にレベル200を超えておられるとっ!? まさに神子様!!」
キョマラさんがそう言うと奥に引っ込んだ奥様のホトカゲさんを呼んだ。
「オイッ、オイッ、ホトカゲよ! 直ぐにこちらに来るのだ! 神子様がたについてセクサローネ様にお聞きしてくれ!?」
「はいはい、何ですか? セクサローネ様とお話するのには神殿に行く必要があるんですよ。神子様がたがレベル200を超えておられるからこの森を易易と抜けられたのでしょう? それならそれで良いじゃありませんか。セクサローネ様にわざわざお伺いするほどの事じゃありませんよ、あなた」
冷静だ。ホトカゲさんはとても冷静にそうキョマラさんに向かって言った。
「いや、しかしだな、こんな短期間で神子様がたがレベルアップされたなら、ひょっとしたら他の勇者たちも直ぐに……」
「ああ、それはありませんよ。僕たちはセクサローネ様からの恩恵で早くレベルアップ出来たので」
僕は直ぐにキョマラさんの言葉を否定した。
「セクサローネ様の恩恵でございますか?」
「はい。
「何と!? チョメチョメでですか!? まさに神子様ですな!! ならば今宵は祝だーっ!!」
「あなた、村ではそんな余裕が無いでしょう。ごめんなさいね、神子様がた。せっかくいらして頂いたのですが、なにぶんにも貧しい村ですので……」
キョマラさんの言葉に直ぐにツッコミを入れつつ僕たちにそう謝るホトカゲさん。
そこで僕たちは色々と村について聞いて見る事に。
村ではレベル100を超えているのはキョマラさんとホトカゲさんの二人だけで、他の村人は一番レベルが高い人で89なんだって。
この辺りには弱い魔獣しか居ないので中々レベルアップしないそうだ。キョマラさんとホトカゲさんは逃亡の際に強い魔獣を一体だけ倒したのでレベルアップしたそうだ。
「それでもあの時は死を覚悟いたしましたなぁ……」
キョマラさんがそう言ってその時の話をしてくれたよ。
で、何とか持ち出した生活に役に立つだろう品々を使ってこの地に村を作ったけれども、ここら辺には鉱山があるわけでもなく、更に森から離れて五キロほど進んでも人が住んでるわけでも無かったので、元々持ってきていた物資も手入れをしながら使用していたけど、段々と使えなくなってしまい今の状態を何とか維持している状況なんだって。
僕たちは顔を見合わせて頷いた。
「キョマラさん、周りの木々は切り倒しても大丈夫なんでしょうか?」
ショーコがそう聞くとキョマラさんは不思議そうな顔をしながらも頷いた。
「木々を切るのは何ら問題ありませんが、一体何をなされるのですか?」
ショーコはその質問には答えずにそのまま質問を続ける。
「それと、皆さんは今の家を壊して新たな家を持つことに抵抗はありませんか?」
「それはまあ、今の家は家と何とか呼べる程度ですからな。ですが先ほども言いましたが新しく建て直したいとは思っても道具が無い状態でございまして……」
そこで僕はショーキを見ると、
「素材があるなら一日に五軒ぐらいは建てられると思う」
僕の目線をちゃんと読んでそう答えてくれるショーキ。
キョマラさんに聞けば村にある家は全部で五十八らしい。十日以上はかかるけど僕たちは別に何か目的があるわけでもないしね。
「キョマラさん、もしもかまわなければ僕たちもこの村で生活したいのですが、そのついでに村を少し良くするようにしても構いませんか? 勿論ですけどもしも勇者たちが襲ってきたなら僕たちが何とかしますから」
そう、キョマラさんには僕のクラスメートたちの急激なレベルアップは無いとは言ったけれども、ひょっとしたら経験値十倍とかの技能を持ってるのもいるかも知れないと思ったんだ。
なので直ぐには来ないだろうけど、いずれはやって来るかも知れない。その時には僕たちでクラスメートたちを止めるつもりだ。
「は、はあ。お住みになるのは全然構いませんが、というかむしろ神子様がたに住んでいただけるならば喜んでと申しましょうか。けれども神子様がたに我らの住居をお願いするなど畏れ多いと言いますか……」
なんてキョマラさんは言うけれども、お世話になるなら僕たちとしても住みやすい村の方が良いからね。僕たちの為にも是非にやらして下さいとお願いしたんだ。
というわけで取り敢えず女神教の村を新たに作り直すよ!
セクサローネ様、見てたら僕たちが新たに作り直した後に祝福をお願いします。って心の中で祈っておいたよ。
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