第10話 もしかして魔族さん?

 僕たちのとりあえずの旅もそろそろ終盤に差し掛かろうとしていた。

 もうあと二日も歩けば森から抜けるだろうという場所までたどり着いたんだ。

 もうすぐ誰も抜けた事がない魔獣の森を僕たちは抜けて、未知の場所にたどり着く。

 

 そこでどんな事があるのか分からないから、僕たちは可能な限りのレベルアップをしてきた。といっても僕たちはチョメチョメイチャイチャの気持ちよさを知ってしまったから、以前ほどはレベルアップしてないんだけどね。

 それでも僕とセーナがレベル230になり、四人がレベル198になってるからもう魔獣の森の魔獣たちは僕たちには脅威じゃなくなってるんだ。


 むしろ、この入った方と反対側の森の浅部だと魔獣たちは僕たちから逃げ出していくぐらいだよ。

 素材もたくさん手に入れてるから、逃げてくれるなら戦闘をしなくて良いから進みも良くなるんだ。


「はあ〜、ようやくここまで来たね」


「そうだね、ジータ。こっちにも誰か人が居たらいいね」


「もし人が居ても友好的とは限らないから俺から離れるなよ、ショーコ」


「フンッ、私だって自分の身ぐらいは守れるわよ、シーヤ!」


「まあまあ、ショーコちゃん。そんなにツンしないでここはデレてシーヤに甘えたら良いんだよ」


「そうそう、ショーコ。私みたいにショーキに甘えたら良いんだよ」


 何だかチョメチョメイチャイチャを経験してからみんなが少し大人になった気がするね。寂しいけれどもコレが大人の階段を昇るって事なんだろうね。ひょっとしたら違ってるかな?


「今日はここまでにしようか。みんな、最後の追い込みのレベルアップの為にチョメチョメイチャイチャの先でも後でも良いけど、最低一回はチョメチョメ自家発電をしておいてね」


 僕の言葉にみんなが分かったって言ってそれぞれの小屋に引っ込んだ。


 小屋に入って僕はセーナに言う。


「セーナ、さっきもシーヤが言ってたけどこっち側の人が友好的とは限らないから、僕たちは二回はチョメチョメ自家発電しておこうね」


「うん、でもチョメチョメイチャイチャも三回はして欲しいな、ダメ?」


 いーや、セーナさん! 三回と言わずに五回はしてみせるよ、僕は! セーナの言葉に直ぐにお風呂場に直行して僕たちは我慢に我慢を重ねてチョメチョメ自家発電を二回した。これはこれで目の前で自家発電してる自分のパートナーがいるからお互いに昂って気持ち良いんだよね。


 そして、イチャイチャタイムに突入した僕たちは夕飯をとるのも忘れて……


「お、お腹空いたなぁ……」

「ゴメンね、ジータ。私がしつこかったから……」

「いやいや、とても可愛くて僕が我慢出来なかったんだよ。セーナは何も悪くないよ」

「ううん、私がちゃんと理性を保ってたら良かったのに」

「いや、それを言うなら僕の方が理性を保てなかったから」


 お互いに深夜2:00まで没頭してしまい、そのままダブルベッドで寝てしまったから、起きるのも出発時間ぎりぎりの7:25になってしまったんだ。五分で何とか支度をして小屋を飛び出た僕とセーナは他の四人も同じ状況だったんだって分かってホッとしたよ。だってみんなが同じように小屋から飛び出てきたからね。 


「な、何だ、お前たちもか?」


 シーヤが何処かホッとしたように言うと、みんなで顔を見合わせて笑いあった。女子たちの顔は少し紅潮してたけどね。


「さ、それじゃ出発しようよ。今日は抜ける手前で野営する予定だからね。明日には森を抜けて未知の場所まで一気に進むよ!」


 僕の言葉にみんなが頷き僕たちは意気揚々と進みだした。


 進み出して三十分ほど経った時に前方から声が聞こえて僕たちは足を止めた。


「そこの六人、止まれ! 何用があってこの地に来た? 返答次第では矢を射掛ける事になる、正直に話せ!!」


 声の方を見ると五人が本当に弓に矢を番えて構えている。

 それに気配からして木の上からも狙われているみたいだ。シーヤがこっそりと僕たちに結界を張ってくれた。見れば普通の弓矢みたいだから物理防御結界を張ったようだね。


「僕たちはパイプカット王国から追放された旅人です。王国の手が及ばないだろうと思いこの魔獣の森を抜けてやって来ました。こちらで普通に暮らせていけたらと願っています」


 僕の言葉に男性が反応する。


「何っ! パイプカット王国からだとっ! もしやセフレ王女の間者か、お前たち!?」


 ちゃんと話を聞いて欲しいなぁ。僕らは追放されたって言ったんだけどね。


「いいえ! 違います。その王女から追放を言い渡されて静かに暮らしたいと思ってこちら側に来たんです!」


「それを証明する物、または証明出来る者はいるのか? ないならば我らはお前たちを受け入れる訳には行かない!!」


 えーっと…… どうしよう…… 僕は頭は良い方だと自覚してるけど所詮は中学三年生だし、こんな時の対処方法なんて思いつかないよ。

 なんて思ってたらセーナが僕の真横に立って言ったんだ。


「私も私たちのリーダーのジータも女神セクサローネ様の恩恵を受けてます! それが証明となりませんか?」


 セーナの言葉に五人の男性たちがざわついた。


「なっ!? こんな子供がなぜセクサローネ様のお名前を知っているのだ?」

「待て待て、パイプカット王国では邪教と呼ばれている女神教を敵視している司祭たちから聞いてるだけかも知れんぞ!」

「いや、しかしだな、恩恵を受けていると言ってる。もしそれが本当ならば……」

「どちらにしても言葉だけでは信用出来んだろう。その恩恵とやらを見せて貰わねば」

「うむ、その通りだな。ではお前とそこのお前! セクサローネ様の恩恵を受けているというならばその証拠を示してみよ!」


 ああ、結局はこうなるんだね。でも証拠を見せてみろって言われてもどうすれば良いかな……


「ジータ、アレをやりましょう!」


 悩んてる僕にセーナが言う。アレ? えっ、もしかしてアレをするの!? いやでもセーナ、アレはこの人たちには可哀想というか……


 僕の困った顔を見てもセーナの意思は固いみたいだ。


「ジータ、セクサローネ様から私たちはこの世界にチョメチョメを育んで広めて欲しいって頼まれたっ」


「ちょっと待てっ!! 今、貴女様はチョメチョメと申されましたか!?」


 いきなりセーナの言葉を遮って証拠を示せって言った男性が丁寧な言葉遣いになって叫んだ。


「えっ、ええ、はい。私はさっきチョメチョメと言いました」


 セーナの返事を聞いたら木の上に隠れていた人たちも木から飛び降りて僕たちの前にきて、先の五人と一緒に土下座して頭を下げたんだ。

 な、何で?


「欲情と愛と創造と豊穣の女神セクサローネ様の神子みこ様に数々の無礼な言葉を申し上げて誠に申し訳ございません。この罪は私一人で背負いますので、どうか他の者たちはお赦しくださいませ……」


 えっと、アレ? 僕たちが聞いたのは愛と創造の女神だったけどなぁ…… 欲情に豊穣はセクサローネ様からは聞いてないよ。


「あの、何で僕たちがセクサローネ様の神子だと思われたんですか?」

 

 先ず僕は神子だと思ったというか確信したであろう理由を聞いてみた。すると、


「チョメチョメです!! チョメチョメは女神セクサローネ様が定義なされた愛の言葉にございます! 女神教信者である我々以外に他の宗教の者たちがその言葉を知るはずがないのです! そして、ましてやパイプカット王国のセフレ王女の間者などが口に出来る筈ない言葉なのです! チョメチョメとは愛なのです!!」


 力説されてしまったよ。で、よく見ると木から飛び降りた人たちの中には耳が尖ってる人や、頭に角がある人なんかも居る。そこで僕は色々と聞かなきゃダメだと思って、僕たちの正体を告げる事にしたんだ。


「あの、とりあえずそれじゃ話も出来ないので立って貰えますか? それと、僕とセーナはセクサローネ様にお会いして恩恵を授かったのは嘘ではありません。僕たちはパイプカット王国の召喚術によってこことは違う世界から召喚されたんです。そして、いきなり役立たずとして追放されました。なので、この世界について詳しく知りません。なので皆さんに教えて欲しいです。皆さんはパイプカット王国のセフレ王女が言う魔族なのでしょうか?」


 僕の質問に土下座から立ち上がりリーダーだと思われる男性が落ち着いた様子で言う。


「先ずは直ぐの天罰をされなかった事についてお礼を申し上げます。私がこの者たちをまとめている女神教の村の村長でキョマラと申します。ご質問にお答えします。確かに私たちは邪教崇拝の魔族とセフレ王女には呼ばれております…… 詳しくは我らの村にてお話しようかと思います。どうか我らについて来てください」


 キョマラさんにそう言われて僕たちは頷いたんだ。村があるならそこで落ち着いて話を聞いた方がいいからね。



 

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